新NISAのつみたて投資枠でクレカ積立を使えば、毎月の投資信託購入でポイントが自動的に貯まる。2024年3月の制度改正で月額上限が5万円から10万円に引き上げられ、年間最大120万円をクレカ決済で積み立てられるようになった。

編集部でも3社のクレカ積立を実際に設定して運用しているが、「証券口座を選ぶ=カードを選ぶ」と言っても過言ではないほど、還元率と年会費の組み合わせで年間の実質リターンが大きく変わる。

本記事では2026年7月時点で、SBI証券×三井住友カード楽天証券×楽天カードマネックス証券×マネックスカードの3社を、ポイント還元率・年会費・対象ファンドの3軸で比較する。月10万円積立で年間いくらポイントが貯まるかを試算し、カードランクごとの最適解を整理した。

クレカ積立の仕組みと月10万円時代のインパクト

クレカ積立(クレジットカード積立投資)とは、証券口座への入金を介さずクレジットカード決済で投資信託を定期買付する仕組みだ。毎月の決済額に応じてカードのポイントが付与されるため、「投資しながらポイントも貯まる」という二重のメリットがある。

2024年3月の金融庁による新NISA制度の月額上限引き上げ(5万円→10万円)により、クレカ積立で得られるポイントも最大2倍になった。還元率1%なら月1,000ポイント、年間12,000ポイント。たかがポイントと思うかもしれないが、20年間で24万円相当になる。投資の複利と同じで、「自動で貯まる」仕組みの威力は時間が経つほど大きい。

ただし注意点がある。各社とも2024年後半〜2025年にかけてポイント付与条件を大幅に改定しており、「昔は得だったカード」が今も得とは限らない。2026年7月時点の最新条件で比較することが重要だ。

SBI証券×三井住友カード:年間カード利用額で還元率が変動

SBI証券のクレカ積立は三井住友カードが対象だ。2024年11月買付分から、カードの年間利用額に応じてポイント付与率が変動する仕組みに改定された(SBI証券公式)。

三井住友カード(NL)(年会費無料)

  • 年間カード利用額10万円以上:0.5%(月10万円積立で月500pt)
  • 年間カード利用額10万円未満:0%
  • 月10万円×12ヶ月×0.5% = 年間6,000ポイント(年会費差引後も6,000pt)

三井住友カード ゴールド(NL)(年会費5,500円・税込、年間100万円利用で翌年以降永年無料)

  • 年間100万円以上利用:1.0%(月10万円積立で月1,000pt)
  • 年間10万円以上利用:0.75%
  • 年間10万円未満:0%
  • 月10万円×12ヶ月×1.0% = 年間12,000ポイント(年間100万円修行を達成済みなら年会費無料で丸取り)

三井住友カード プラチナプリファード(年会費33,000円・税込)

  • 年間500万円以上利用:3.0%(月10万円積立で月3,000pt)
  • 年間300万円以上利用:2.0%
  • 年間300万円未満:1.0%
  • 月10万円×12ヶ月×1.0% = 12,000pt → 年会費33,000円を差し引くと実質▲21,000円

結論から言うと、SBI証券はゴールド(NL)で年間100万円利用を達成できる人が最もコスパが高い。プラチナプリファードはクレカ積立だけでは年会費を回収できないため、日常決済で年間300万円以上使う人向けだ。なお、クレカ積立の決済額は「年間利用額」の集計対象外である点にも注意が必要だ(三井住友カード公式FAQ)。

楽天証券×楽天カード:楽天経済圏ならシンプルに強い

楽天証券のクレカ積立は楽天カードで月10万円まで設定できる。ポイント還元率はカードランクと投資信託の信託報酬(代行手数料)によって異なる。

楽天カード(年会費無料)

  • 代行手数料0.4%以上のファンド:1.0%
  • 代行手数料0.4%未満のファンド:0.5%
  • eMAXIS Slim全世界株式(オルカン)やS&P500は代行手数料0.4%未満 → 0.5%
  • 月10万円×12ヶ月×0.5% = 年間6,000ポイント(年会費無料で丸取り)

楽天ゴールドカード(年会費2,200円・税込)

  • 代行手数料0.4%未満のファンド:0.75%
  • 月10万円×12ヶ月×0.75% = 9,000pt → 年会費2,200円差引で実質6,800ポイント

楽天プレミアムカード(年会費11,000円・税込)

  • 一律1.0%
  • 月10万円×12ヶ月×1.0% = 12,000pt → 年会費11,000円差引で実質1,000ポイント

楽天証券の強みは楽天ポイントの使い道の広さだ。楽天市場・楽天ペイ・楽天モバイルなど、日常生活の決済で現金同様に使える。編集部の試算では、楽天市場のSPU(スーパーポイントアッププログラム)で楽天カードの倍率が上がることを考えると、楽天経済圏を活用している人にとっての実質的な価値は額面以上になる。

ただし、主要なインデックスファンド(eMAXIS Slim、楽天・オルカンなど)は軒並み代行手数料0.4%未満に該当するため、一般カードの還元率は0.5%止まりだ。ゴールドカードの年会費2,200円は積立のポイント差額(年3,000pt増)だけで十分回収できるため、楽天経済圏ユーザーにはゴールドが最適解になる。

マネックス証券×マネックスカード:低コストで高還元の穴場

マネックス証券のクレカ積立はマネックスカード(アプラス発行)が対象だ。年会費は初年度無料、2年目以降も年1回以上の利用で無料(未利用時550円)と、実質無料で運用できる。

還元率(積立額に応じた段階制)

  • 月5万円以下の部分:1.1%
  • 月5万円超〜7万円の部分:0.6%
  • 月7万円超〜10万円の部分:0.2%

月10万円積立時の計算

  • 5万円×1.1% = 550pt
  • 2万円×0.6% = 120pt
  • 3万円×0.2% = 60pt
  • 合計:月730pt × 12ヶ月 = 年間8,760ポイント(年会費実質0円で丸取り)

マネックスカードのポイントはAmazonギフトカードやdポイント、Pontaポイントなどに交換可能だ。楽天ポイントほどの汎用性はないが、実用上は十分使いやすい。

注目すべきは、年会費実質無料で年間8,760ポイントを獲得できる点だ。月5万円以下の1.1%は3社中最高の還元率であり、月5万円だけ積み立てる場合は年間6,600ポイントと圧倒的に有利。月10万円フル積立でも、年会費無料の条件で比較すると3社中トップの還元額になる。

3社比較まとめ:月10万円積立の年間ポイント試算表

2026年7月時点の条件で、月10万円を積み立てた場合の年間ポイント獲得数を一覧にまとめた(主要インデックスファンドを購入する前提)。

証券会社 カード 還元率 年間ポイント 年会費(税込) 実質リターン
SBI証券 三井住友カード(NL) 0.5% 6,000pt 0円 6,000円相当
SBI証券 ゴールド(NL)※100万利用時 1.0% 12,000pt 0円 12,000円相当
SBI証券 プラチナプリファード※300万未満 1.0% 12,000pt 33,000円 ▲21,000円
楽天証券 楽天カード 0.5% 6,000pt 0円 6,000円相当
楽天証券 楽天ゴールドカード 0.75% 9,000pt 2,200円 6,800円相当
楽天証券 楽天プレミアムカード 1.0% 12,000pt 11,000円 1,000円相当
マネックス証券 マネックスカード 段階制 8,760pt 実質0円 8,760円相当

年会費を考慮した実質リターンで見ると、状況別のおすすめは以下のとおりだ。

年会費を払いたくない人 → マネックス証券×マネックスカード(年間8,760pt)

年会費実質無料で3社中最高のリターン。「とりあえず損したくない」人に最適。

年間100万円のカード利用がある人 → SBI証券×三井住友カード ゴールド(NL)(年間12,000pt)

100万円修行を達成すれば年会費永年無料で還元率1.0%。家賃・光熱費・通信費をカード払いにすれば年100万円は現実的なラインだ。

楽天経済圏で生活している人 → 楽天証券×楽天ゴールドカード(実質6,800pt+SPU恩恵)

楽天市場のSPUでポイント倍率が上がるため、楽天市場での買い物が多い人はポイント額面以上の価値がある。

証券口座を選ぶときに見落としがちな3つのポイント

クレカ積立の還元率だけで証券口座を選ぶのはもったいない。以下の3点も合わせてチェックしておこう。

1. 投信保有ポイント(投信マイレージ)

SBI証券は投資信託の保有残高に応じて年率0.0175%〜0.15%のポイントが付与される(投信マイレージサービス)。月10万円を5年間積み立てれば残高600万円、年間1,000ポイント前後の上乗せになる。楽天証券にも同様の「投信残高ポイントプログラム」があるが、対象ファンドが限定的だ。マネックス証券にも投信保有ポイントがある。残高が大きくなるほど差が出るため、長期運用なら無視できない。

2. ポイント投資の可否

楽天証券は楽天ポイントで投資信託を購入できる(1ポイント=1円)。SBI証券もVポイントで投信購入が可能。マネックス証券のマネックスポイントは投信購入に充当できる。貯まったポイントをそのまま再投資に回せるかどうかは、複利効果の観点で意外と重要だ。

3. 取扱ファンドのラインナップ

3社ともeMAXIS Slimシリーズや楽天・オルカンなど主要インデックスファンドは取り扱っている。ただし、一部のファンド(楽天・プラス・シリーズなど)は楽天証券限定、SBI・Vシリーズの一部はSBI証券が有利といった違いがある。自分が積み立てたいファンドがあるかは事前に確認しておこう。

FAQ

クレカ積立の月10万円上限はつみたて投資枠だけ?成長投資枠でも使える?

2026年7月時点で、SBI証券・楽天証券・マネックス証券のクレカ積立はつみたて投資枠・成長投資枠の両方に対応している。ただし、3社とも合計で月10万円が上限であり、つみたて投資枠と成長投資枠を合算してのカウントとなる。

クレカ積立のポイント還元率は今後も変わる可能性がある?

ある。実際にSBI証券は2024年11月に大幅な改定を実施し、年間カード利用額に応じた段階制に移行した。各社のポイント還元は「キャンペーン的な高還元→段階的に縮小」という傾向があるため、定期的に最新情報を確認することを推奨する。

複数の証券口座でクレカ積立を併用できる?

新NISA口座は1人1口座だが、特定口座であれば複数の証券会社でクレカ積立を設定できる。たとえばSBI証券で新NISA月10万円、マネックス証券で特定口座月10万円という使い方は可能だ。ただし、特定口座の利益には約20%の課税がかかるため、まずは新NISA枠を優先的に使い切ることをおすすめする。

年会費無料のカードだけで比較するとどこが一番得?

マネックス証券×マネックスカードが年間8,760ポイントで最多。次いでSBI証券×三井住友カード(NL)と楽天証券×楽天カードが同率で年間6,000ポイント。年会費を一切払わずにポイントを最大化するならマネックスが有利だ。

クレカ積立の設定・解除に手数料はかかる?

3社とも設定・解除は無料で、オンラインで完結する。積立の一時停止や金額変更もいつでも可能だ。証券口座とクレジットカードの両方を開設する必要があるが、どちらも口座開設手数料は無料である。

参考文献