「株だけじゃ不安だけど、金って高そう」——そう思っている人は多い。結論から言うと、金(ゴールド)投資は月1,000円から始められる。しかも純金積立・金ETF・投資信託の3つの方法があり、自分の投資スタイルに合わせて選べる。

ただし注意点がある。金は新NISA(少額投資非課税制度)の対象外だ。つまり利益が出ても約20%の税金がかかる。それでも株式と逆相関しやすい金は、分散投資の王道として世界中の投資家が組み入れている資産だ。

編集部でも実際に3つの方法を試して積み立てている。この記事では、2026年6月時点の手数料・税金・最低投資額を比較し、新NISAのオルカン積立と組み合わせるポートフォリオ設計例まで具体的に示す。

なぜ今、金(ゴールド)に注目が集まっているのか

2024年から2026年にかけて、金価格は歴史的な高騰を続けている。田中貴金属工業の金価格推移によると、国内金小売価格は2024年10月に1gあたり15,000円を突破し、2026年に入っても高値圏で推移している。

背景にあるのは、世界的なインフレ・地政学リスク・各国中央銀行の金買い増しだ。ワールド・ゴールド・カウンシルのデータによれば、中国・インド・ポーランドなどの中央銀行が2022年以降、年間1,000トン超のペースで金を購入し続けている。

とはいえ「高値づかみが怖い」という声もある。だからこそ毎月少額で買い続ける「積立」が有効だ。価格が高い月は少なく、安い月は多く買うドルコスト平均法が自動的に働く。

金投資の3つの方法を手数料・税金・最低額で比較

金に投資する方法は大きく3つ。それぞれの特徴を2026年6月時点の情報で比較する。

① 純金積立(田中貴金属・楽天証券・SBI証券など)

純金積立は、毎月一定額で金を少しずつ購入するサービスだ。田中貴金属工業のGold to Goは月3,000円から、楽天証券の純金積立は月1,000円から積立可能。購入した金は業者が保管してくれる(特定保管 or 消費寄託)。

手数料は購入時に1.5〜2.5%程度かかる。たとえば田中貴金属では月3,000〜29,000円の積立で買付手数料が2.5%(税込)。楽天証券・SBI証券は買付手数料1.65%(税込)と比較的安い。

メリットは「現物の金」として引き出せること。デメリットは手数料がETFや投資信託と比べて高い点だ。

② 金ETF(上場投資信託)

証券口座があれば株と同じように売買できるのが金ETFだ。代表的な銘柄は以下の通り。

  • SPDRゴールド・シェアーズ(1326) — 世界最大の金ETF。東証上場で円建てで売買可能。SPDR公式サイトによると信託報酬は年0.40%
  • 純金上場信託(1540) — 三菱UFJ信託銀行が運用。信託報酬 年0.44%(税込)。1口=約1gの金価格に連動。金の果実公式サイトで詳細確認可能
  • NF金価格連動型ETF(1328) — 野村アセットマネジメント運用。信託報酬 年0.55%(税込)

金ETFの最低投資額は1口単位で、2026年6月時点で1326は1口あたり約4万円前後、1540は約1万5,000円前後。まとまった金額が必要な点はデメリットだが、信託報酬は純金積立より圧倒的に低い。

③ 金関連の投資信託

投資信託なら100円から積立できる証券会社もあり、最も少額から始められる。

  • 三菱UFJ 純金ファンド(ファインゴールド) — 信託報酬 年0.99%(税込)。三菱UFJアセットマネジメント公式で目論見書が確認できる
  • ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり/なし) — 信託報酬 年0.879%(税込)。為替リスクをヘッジするかどうか選べるのが特徴
  • SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド — 信託報酬 年0.1838%程度(税込)と低コスト。SBI証券のファンド詳細で確認可能

投資信託は金ETFより信託報酬がやや高めだが、100円や1,000円から自動積立を設定できるため、初心者には最もハードルが低い。

3つの方法の比較表

項目純金積立金ETF投資信託
最低投資額月1,000円〜1口 約1.5万〜4万円100円〜
買付手数料1.65〜2.5%証券会社の株式手数料(SBI・楽天は無料化済み)ノーロード(無料)が主流
信託報酬/保管料年会費or保管料あり年0.40〜0.55%年0.18〜0.99%
売却時コストスプレッド(買値と売値の差)株式手数料信託財産留保額(0〜0.5%)
税金譲渡所得(50万円控除あり)譲渡所得 20.315%譲渡所得 20.315%
現物引出し可能(一部業者)1540のみ可能不可
自動積立対応一部証券会社で対応対応
新NISA対象対象外対象外対象外

要するに、コスト重視なら低信託報酬の投資信託(SBI・iシェアーズ等)、現物の金を持ちたいなら純金積立、まとまった額で機動的に売買したいなら金ETFという使い分けになる。

金が新NISAの対象外である理由と税金の扱い

「新NISAで金を買えないの?」という疑問は非常に多い。結論として、2026年6月時点で金ETF・純金積立・金関連投資信託はいずれも新NISAの対象外だ。

金融庁の新NISA制度概要によれば、つみたて投資枠の対象は「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託・ETF」に限定されており、金ETFや金関連ファンドは基準を満たしていない。成長投資枠でも金ETFは対象外(コモディティETFは除外銘柄)。

したがって金投資の利益には約20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかる。ただし純金積立で購入した金を現物で引き出し、5年超保有してから売却した場合は「長期譲渡所得」として、利益から50万円を控除した上でさらに1/2に圧縮される。

この税制を理解した上で、新NISAで非課税の恩恵を受けるオルカンやS&P500と、課税だが分散効果のある金を組み合わせるのが現実的な戦略だ。

新NISAオルカン積立×金のポートフォリオ設計例

「株と金をどう組み合わせればいいのか」——編集部で実際に検討し、初心者向けに3つのモデルを作成した。いずれも月3万円を積み立てる想定だ。

モデルA: 堅実派(金の比率10%)

  • 新NISA つみたて投資枠: eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)— 月27,000円
  • 特定口座: SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド — 月3,000円

株式90%・金10%。株の暴落時に金がクッションになることを期待しつつ、非課税枠を最大活用するモデル。投資を始めたばかりの人はここからでいい。

モデルB: バランス派(金の比率20%)

  • 新NISA つみたて投資枠: オルカン — 月24,000円
  • 特定口座: 金投資信託 — 月6,000円

GPIFなど年金運用機関が参考にするポートフォリオでも、コモディティを10〜20%組み入れる例がある。リスク許容度がやや低い人向け。

モデルC: 実物資産重視派(金の比率20%+現物)

  • 新NISA: オルカン — 月24,000円
  • 純金積立(楽天証券): 月3,000円
  • 金投資信託: 月3,000円

「いつか金の延べ棒を手にしたい」人向け。楽天証券の純金積立なら月3,000円から始められ、一定量たまれば現物で引き出せる。投資信託と併用してコスト分散する考え方だ。

どのモデルでも共通するのは、新NISAの非課税枠をまず株式で埋めること。金は課税口座(特定口座)で積み立てる。非課税枠は有限なので、リターンが期待できる株式に優先配分するのが合理的だ。

月1,000円から金積立を始める具体的な手順

最も手軽に始められる「証券会社での投資信託積立」の手順を、楽天証券を例に解説する。

  1. 楽天証券の口座を開設する(すでに持っている人はスキップ)。楽天証券公式サイトからオンラインで申込み。特定口座(源泉徴収あり)を選ぶと確定申告が不要になる
  2. ファンド検索で「ゴールド」と検索。「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド」や「三菱UFJ 純金ファンド」などが表示される
  3. 積立設定で毎月の金額を入力。楽天証券なら100円から設定可能。まずは月1,000円で始めてみよう
  4. 引落し方法を選ぶ。楽天カード決済にすると0.5〜1%のポイントが付く(月10万円まで)
  5. 設定完了後は放置。毎月自動で買い付けられるので、価格を毎日チェックする必要はない

純金積立で始めたい場合は、楽天証券の「金・プラチナ取引」から月1,000円以上1,000円単位で設定できる。田中貴金属のGold to Goなら月3,000円から。手数料は楽天証券が1.65%、田中貴金属が2.5%だ。

金投資で初心者がやりがちな3つの失敗

編集部に寄せられる読者の声から、よくある失敗パターンを3つ紹介する。

失敗①: 「金が上がっている」と聞いて一括で大量購入

金価格は短期的に10〜20%下落することもある。2013年には国際金価格が年間で約28%下落した。高値圏で一括購入すると含み損を抱える可能性がある。積立で時間分散するのが鉄則だ。

失敗②: 手数料を確認せずに始める

純金積立の買付手数料は年間で見ると地味に効く。月1万円×手数料2.5%=年間3,000円。10年で3万円が手数料に消える計算だ。手数料率1.65%の証券会社を選ぶだけで年間1,020円の差がつく。

失敗③: 金だけに集中投資する

金は配当や利息を生まない。価格上昇だけが利益の源泉だ。ポートフォリオの10〜20%を目安に、あくまでサブの資産として位置づけよう。金100%のポートフォリオでは、株式市場の長期的なリターンを取り逃がしてしまう。

FAQ

金投資は月いくらから始められますか?

投資信託なら100円から、純金積立なら楽天証券・SBI証券で月1,000円から始められます。田中貴金属は月3,000円からです。金ETFは1口単位のため、銘柄により約1.5万〜4万円が最低投資額です。

金は新NISAで買えないのですか?

2026年6月時点で、金ETF・金投資信託・純金積立のいずれも新NISAの対象外です。金融庁が定める「長期の積立・分散投資に適した投資信託」の基準を満たしていないためです。金の利益には約20.315%の税金がかかります。

金の現物(インゴット・コイン)を持つメリットはありますか?

現物は金融システムから独立した資産という安心感があります。ただし保管コスト・盗難リスク・売却時の手間がかかります。初心者は投資信託や純金積立から始め、知識がついてから現物を検討するのがおすすめです。

金と株はどれくらい逆相関しますか?

常に逆相関するわけではありませんが、リーマンショック(2008年)やコロナショック(2020年)など株式の急落局面では金価格が上昇する傾向が見られました。長期的な相関係数は概ね−0.1〜0.2程度で、分散投資の効果が期待できます。

金投資の利益にかかる税金はいくらですか?

金ETF・投資信託は譲渡益に20.315%(所得税15.315%+住民税5%)がかかります。純金積立の現物売却は譲渡所得扱いで、年間50万円の特別控除があります。5年超保有の長期譲渡なら課税対象が1/2に軽減されます。

参考文献