「つみたて投資枠で投資信託を積み立てているけど、成長投資枠はどう使えばいいの?」——そんな疑問を持つ人は多い。結論から言うと、成長投資枠では国内上場ETFを買うのが有力な選択肢だ。
投資信託とETFは中身が似ているが、信託報酬・分配金・売買の自由度に違いがある。編集部で実際に成長投資枠でETFを買ってみたところ、つみたて投資枠の投資信託だけでは得られないコスト面と運用の柔軟さに想像以上の差があった。
この記事では、2026年6月時点の情報をもとに、成長投資枠でETFを買うメリットと、初心者が迷わず選べるおすすめ3銘柄を紹介する。
新NISAの成長投資枠とは?つみたて投資枠との違い
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがある。金融庁の公式ページによると、両枠の主な違いは以下のとおりだ。
- つみたて投資枠: 年間120万円まで。金融庁が選定した投資信託・ETFのみが対象
- 成長投資枠: 年間240万円まで。上場株式・ETF・投資信託など幅広い商品が対象
- 生涯投資枠: 合計1,800万円(うち成長投資枠は最大1,200万円)
つまり、成長投資枠は「つみたて投資枠では買えない商品にも投資できる自由度の高い枠」と捉えてよい。ETF(上場投資信託)はまさにこの枠と相性がいい。
ETFと投資信託の違い——成長投資枠でETFを選ぶ3つのメリット
ETF(Exchange Traded Fund)は投資信託の一種だが、証券取引所に上場しており株式と同じようにリアルタイムで売買できる。投資信託と比較した場合のメリットは大きく3つある。
メリット1: 信託報酬が低い傾向にある
同じ指数に連動する商品でも、ETFのほうが信託報酬(運用コスト)が低い傾向がある。たとえばS&P500に連動する商品を比較すると、以下のような差がある(2026年6月時点)。
- MAXIS米国株式(S&P500)上場投信(2558): 信託報酬 年0.077%(税込0.0858%)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)(投資信託): 信託報酬 年0.09372%(税込)
三菱UFJアセットマネジメントの公式情報によると、ETF版のほうが年間で約0.008ポイント低い。100万円を20年運用した場合、この差は数千円〜1万円程度になる。「たった0.008%」と思うかもしれないが、長期投資ではこうした小さな差が複利で効いてくる。
メリット2: 分配金を受け取れる
多くのETFは分配金(配当金に相当)を年1〜4回支払う。投資信託でも分配型はあるが、つみたて投資枠で人気の「再投資型」は分配金を自動で再投資するため、手元にキャッシュは入らない。
「投資しながら定期的にキャッシュを受け取りたい」という人には、ETFの分配金が魅力的だ。新NISAでは分配金も非課税で受け取れるため、通常なら約20%かかる税金がゼロになる。
ただし注意点もある。分配金を受け取ると再投資されないため、資産の成長スピードは再投資型の投資信託に比べて遅くなる可能性がある。「資産を最大化したい」なら再投資型、「キャッシュフローが欲しい」ならETFの分配金、と目的で使い分けるのがよい。
メリット3: リアルタイムで売買できる
投資信託は1日1回の基準価額でしか売買できない(ブラインド方式)。一方、ETFは株式と同じく市場が開いている時間帯にリアルタイムで売買できる。
「今日の相場が下がったタイミングで買いたい」「急に資金が必要になったから即日売りたい」といった柔軟な対応が可能だ。ただし、短期売買を繰り返すと長期投資の恩恵を受けにくくなるため、頻繁な売買は避けたほうがよい。
初心者おすすめ国内上場ETF 3銘柄【2026年6月時点】
ここからは、新NISA成長投資枠で買える国内上場ETFのなかから、初心者が迷わず選べる3銘柄を紹介する。いずれも運用残高が大きく、流動性が十分で、長期保有に向いている。
1. MAXIS米国株式(S&P500)上場投信(2558)
- 連動指数: S&P500(米国の大型株500社)
- 信託報酬: 年0.077%(税込0.0858%)
- 分配頻度: 年2回(6月・12月)
- 運用会社: 三菱UFJアセットマネジメント
米国株に幅広く投資したいなら、まずこれを検討してよい。つみたて投資枠でeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を積み立てている人なら、成長投資枠ではそのETF版を持つことで、ポートフォリオの中身を揃えつつコストを抑えられる。
2. MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信(2559)
- 連動指数: MSCI ACWI(先進国+新興国の約3,000銘柄)
- 信託報酬: 年0.078%(税込0.0858%)
- 分配頻度: 年2回(6月・12月)
- 運用会社: 三菱UFJアセットマネジメント
「米国だけに集中するのは不安」「世界全体に分散したい」という人には全世界株式型がおすすめだ。つみたて投資枠でオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)を買っている人との相性もよい。
3. NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信(1489)
- 連動指数: 日経平均高配当株50指数
- 信託報酬: 年0.28%(税込0.308%)
- 分配頻度: 年4回(1月・4月・7月・10月)
- 分配金利回り: 約3〜4%(2025年実績ベース。将来の利回りを保証するものではない)
- 運用会社: 野村アセットマネジメント
NEXT FUNDSの公式ページによると、日経平均構成銘柄のうち配当利回りの高い50銘柄に投資する。年4回の分配金を非課税で受け取れるのが最大の魅力だ。「インデックス投資だけでは物足りない」「配当金というキャッシュフローも欲しい」という人に向いている。
ただし、信託報酬はS&P500型やオルカン型と比べてやや高い。また、高配当株は景気後退局面で減配リスクがある点も理解しておこう。
成長投資枠でETFを買うときの注意点
ETFにはメリットが多いが、初心者が見落としやすい注意点もある。
売買単位に注意
ETFは1口単位で購入する。2026年6月時点で、2558(S&P500)は1口あたり約23,000〜25,000円前後で推移している。投資信託のように「100円から積立」はできないため、ある程度まとまった資金が必要だ。
分配金の再投資は手動
ETFの分配金は証券口座に入金されるが、自動で再投資する仕組みがない証券会社が多い。分配金を再投資したい場合は、入金された分配金で手動でETFを買い直す必要がある。
つみたて投資枠との使い分け
「つみたて投資枠は投資信託でコツコツ積立、成長投資枠はETFでまとめ買い or 高配当」という使い分けがシンプルで管理しやすい。無理に両方の枠を使い切る必要はない。まずはつみたて投資枠を優先し、余裕があれば成長投資枠でETFを検討するのが堅実だ。
ETFの買い方——証券口座での注文手順
ETFの買い方は株式とほぼ同じだ。大手ネット証券(SBI証券、楽天証券など)での基本的な手順は以下のとおり。
- 証券口座にログインし、NISA口座で「成長投資枠」を選択
- 銘柄コード(例: 2558)を検索
- 「買い」を選択し、口数(例: 1口)と注文方法(指値 or 成行)を入力
- 注文内容を確認して発注
成行注文はすぐに約定するが、価格が想定より高くなるリスクがある。初心者は「指値注文」で自分が買ってもよい上限価格を指定するほうが安心だ。なお、SBI証券と楽天証券では国内ETFの売買手数料が無料(2026年6月時点)のため、コストを気にせず少額から始められる。
FAQ
成長投資枠でETFを買ったら、生涯投資枠1,800万円を消費する?
はい。新NISAの生涯投資枠1,800万円はつみたて投資枠と成長投資枠の合計だ。ただし成長投資枠で使えるのは最大1,200万円まで。残り600万円はつみたて投資枠専用となる。
ETFと投資信託、どちらを先に買うべき?
まずはつみたて投資枠で投資信託の積立を始めるのが優先。毎月の積立が軌道に乗り、余裕資金があれば成長投資枠でETFを検討するとよい。
ETFの分配金に税金はかかる?
新NISAの成長投資枠で保有しているETFの分配金は非課税だ。ただし「株式数比例配分方式」を選択していない場合は課税される可能性がある。証券口座の配当金受取方法を必ず確認しよう。日本取引所グループの公式情報を参照。
おすすめ3銘柄を全部買ったほうがいい?
3銘柄すべてを買う必要はない。S&P500型(2558)とオルカン型(2559)は投資対象が大きく重なるため、どちらか一方で十分だ。高配当型(1489)はキャッシュフローが欲しい人向けなので、目的に合わせて1〜2銘柄に絞ろう。
参考文献
- 新しいNISA — 金融庁, 2024年
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) — 三菱UFJアセットマネジメント
- NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信(1489) — 野村アセットマネジメント
- ETF(上場投資信託) — 日本取引所グループ
- SBI証券 — 株式会社SBI証券