2023年12月31日をもって、ジュニアNISAの新規投資が終了した。制度廃止後も「子どもの将来に備えてコツコツ積み立てたい」という親の需要は変わらない。2026年時点で選べる主な代替策は4つある。①教育資金一括贈与の非課税特例、②親名義の新NISA、③学資保険、④iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用だ。

どれが最適かは子どもの年齢と目的によって変わる。本記事では4択を年齢別・目的別に比較し、どのタイミングで何を使うべきかを整理する。

ジュニアNISA廃止後の現状(2026年時点)

ジュニアNISAは2023年末で新規投資が打ち切られた。廃止に際して制度の緩和措置が取られ、2024年以降は18歳未満でも非課税のまま払い出せるようになっている(従来は原則18歳までロックアップ)。

編集部に読者から多く寄せられるのが「既存のジュニアNISA残高はそのまま持ち続けるべきか、今すぐ払い出して別の手段に乗り換えるべきか」という問いだ。答えは「急がなくてよい。次の投資先が決まってから動けばいい」。口座内での運用は引き続き非課税で継続できるからだ。

新たに子どものために積み立てを始めたい家庭は、以下の4択から選ぶことになる。

4択の概要比較表

制度 上限額 非課税のしくみ 使途制限 主な対象年齢
①教育資金一括贈与の非課税特例 1,500万円(通算) 贈与税が非課税 教育費のみ 0〜29歳(受贈者)
②親名義の新NISA 年360万円・生涯1,800万円 運用益・売却益が非課税 なし 子が0〜12歳ごろから
③学資保険 プランによる 満期金が一時所得扱い(実質ほぼ非課税) なし(満期金は自由) 子が0〜6歳(加入上限あり)
④iDeCo 職業区分で異なる(最大年816,000円) 掛け金が全額所得控除・運用益非課税 老後資金(原則60歳〜) 親自身の老後資金として

①教育資金一括贈与の非課税特例|祖父母がいる家庭向け

「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税特例」(以下、教育資金贈与特例)は、祖父母(または曾祖父母)から孫への教育資金贈与に使える制度だ。2026年1月現在、非課税限度額は1人あたり1,500万円(習い事など学校以外の教育費は500万円まで)。

利用するには金融機関(信託会社・銀行・証券会社等)に専用口座を開設し、一括で資金を入金する。払い出しは実際の教育費の領収書を提出する形で行う。受贈者は原則30歳未満が対象だ。

注意点は2つある。ひとつは使途が教育費に限定されること。残高がある状態で孫が30歳になると、未使用額に贈与税・相続税が課される場合がある。もうひとつは適用期限が2026年3月31日まで(2026年1月時点)という点だ。過去に繰り返し延長されてきた制度のため2026年度税制改正での延長も考えられるが、利用を検討しているなら早めに動いておくほうが安全だ。祖父母の財産状況によっては相続税対策にもなるため、税理士への確認を勧める。

出典: 国税庁「No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」

②親名義の新NISA|汎用性が最高、長期運用に最適

2024年1月にスタートした新NISAは、年間360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)、生涯投資枠1,800万円まで非課税で運用できる。通常かかる運用益・売却益への税金(約20.315%)がゼロになる。

子どものための積み立てを親名義でやる場合の最大のメリットは使途の自由度だ。学費に充てても老後資金に回してもよいし、子どもへの贈与タイミングも柔軟に決められる。ジュニアNISAのように「子どもが18歳になるまで引き出せない」という制約もない。

向いているのは子どもが0〜12歳の段階だ。教育費が必要になる大学進学(18歳前後)まで6〜18年の運用期間があるため、インデックス投資の長期効果が発揮しやすい。たとえば月3万円を15年間積み立てた場合、年利5%想定で元本540万円→約790万円になる試算もある(ただし運用成績は変動し保証されない)。

気をつけたいのが親名義の資産を子どもに渡す際の贈与税だ。年110万円の暦年贈与非課税枠内で毎年少額ずつ渡すか、相続時精算課税制度(2024年改正で年110万円の控除が追加)を活用するかを検討してほしい。

出典: 金融庁「NISAとは?」

③学資保険|「払込免除特約」で万が一に備える

学資保険は、契約時に定めた満期日(多くは子どもが18歳)に学資金を受け取れる生命保険商品だ。最大の特徴は払込免除特約だ。契約者(通常は親)が死亡・高度障害状態になった場合、以降の保険料の払い込みが免除され、満期日に予定通りの学資金が受け取れる。

2026年現在、主な学資保険の返戻率は104〜108%前後が目安だ(保険会社・プラン・払込期間により異なる)。運用リターンとしては低いが、「親が死亡しても教育費を確保する」という生命保険的機能は新NISAでは代替できない。

加入できるのは子どもが0歳〜6〜8歳(保険会社によって異なる)までが多い。小学校高学年以上では加入できないケースがほとんどなので、検討するなら早めの決断が必要だ。

学資保険と新NISAの組み合わせも有効だ。「万が一のカバー=学資保険」「長期運用で増やす=新NISA」と役割を分担する方法で、どちらか一方に絞る必要はない。

④iDeCo|老後資金の節税で教育費の余力を作る

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、子どもの教育費を直接積み立てる制度ではない。ただし、掛け金が全額所得控除になるため、毎年の税金を減らし「教育費に使えるお金の余力を作る」という間接的な効果がある。

たとえば年収500万円の会社員(企業型DC非加入)が月2万3,000円(年27.6万円)を拠出した場合、年間の所得税・住民税が約5〜7万円程度軽減される試算になる(税率・各種控除により異なる)。この軽減分を教育費の補填に回すという考え方だ。

原則60歳まで受け取れないのが最大の制約だ。子どもの大学進学時に急な費用が発生しても取り崩せない。iDeCoは「老後資金」、新NISAを「教育費も含めた中期積み立て」と役割を明確に分けるのが基本の考え方だ。

出典: iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)「iDeCoガイド」

年齢別の最適な組み合わせ

0〜5歳(乳幼児期)|長期投資の恩恵を最大に受けられる時期

積み立て期間が最長取れる黄金期だ。学資保険で万が一のカバーを確保しつつ、親名義の新NISAで長期インデックス積み立てを始めるのが基本の組み合わせ。祖父母から一括で資金を用意してもらえる環境があれば、教育資金贈与の非課税特例も検討できる(適用期限に注意)。

6〜12歳(小学生)|新NISAを中心に、リバランスも意識

学資保険は多くの場合、加入期限(6〜8歳)を超えている年齢だ。この段階からは親名義の新NISAが中心になる。教育費まで6〜12年あるため、株式インデックスファンドの積み立ては引き続き有効だ。大学進学が近づく小学校高学年頃から、積み立てた資産の一部を安全資産(個人向け国債・定期預金等)に移すリバランスを意識し始めるとよい。

13〜18歳(中学生・高校生)|安全資産への移行フェーズ

教育費まで1〜6年という短い期間では、株式の値下がりリスクが直接ダメージになる。定期預金や個人向け国債などの安全資産への移行を進める時期だ。新NISAで積み立ててきた資産があれば、利益確定した際に税金がかからないのが強みで、タイミングを見ながら売却して安全資産に移す選択肢がある。

FAQ

ジュニアNISAの残高はすぐに払い出すべきですか?

急ぐ必要はない。2024年以降、ジュニアNISA口座の残高は18歳未満でも非課税のまま払い出せるようになったが、口座内での運用継続中も非課税は続く。次の投資先(親名義の新NISAなど)が決まってから動くほうが合理的だ。

学資保険と新NISAどちらを先に始めるべきですか?

子どもが6歳未満であれば、まず学資保険の加入を先に検討してほしい。加入期限があるためだ。払込免除特約という保障機能は新NISAでは代替できない。保障が確保できたら余剰資金を新NISAに回す順番が一般的だ。

教育資金贈与の非課税特例は2026年3月以降も使えますか?

2026年1月時点で適用期限は2026年3月31日だ。過去にも繰り返し延長されてきた制度で、2026年度税制改正での再延長も議論されているが確定情報ではない。利用を検討している場合は2026年3月末を目安に早めに動くことを勧める。

新NISAで積み立てた資産を子どもに渡すと贈与税がかかりますか?

年110万円(暦年贈与の基礎控除)以内なら贈与税はかからない。それを超える金額を一度に渡す場合は贈与税が発生する。毎年110万円ずつ計画的に贈与するか、相続時精算課税制度(2024年改正後は年110万円の控除あり)を活用する方法も検討できる。税理士への相談を勧める。

iDeCoは子どものための積み立てに使えますか?

直接は使えない。iDeCoは原則60歳まで受け取れない老後資金だ。ただし、掛け金の所得控除で節約できた税金を教育費の補填に回すという間接的な活用はできる。「老後資金=iDeCo」「教育費=新NISA」と役割を分けて両方使うのが王道だ。

参考文献