結論から言うと、会社員は健康保険・雇用保険・労災保険・厚生年金でかなりの範囲が既にカバーされています。そのため、重複している民間保険や特約を外すだけで、保険料の負担を大きく減らせる可能性があります。この記事では2026年10月時点の制度をもとに、「社会保険で何が出るのか」を先に整理し、そのうえで解約を検討しやすい保険・特約を具体名で挙げます。

筆者は固定費削減と物販のリスク管理を数字で書いてきた三児の母です。家計を見直すときは、通信費や保険のように「一度決めると放置しがちな固定費」から手をつける派です。なお、保険料や給付額は契約内容・年収・加入先で変わります。以下の金額は目安なので、必ずご自身の証券と公式情報で確認してください。

まず確認:会社員が社会保険で既にカバーされている範囲

民間保険を削る前に、公的制度で何が出るのかを把握します。ここを知らずに解約すると不安だけが残るので、先に確認しましょう。

健康保険:医療費の自己負担は原則3割+高額療養費

会社員の健康保険では、医療費の自己負担は原則3割です。さらに、1か月の自己負担額が上限を超えた分は高額療養費制度(全国健康保険協会)で払い戻されます。たとえば年収約370万〜770万円の区分では、上限は「80,100円+(医療費−267,000円)×1%」が基本の式です。

つまり、入院や手術で医療費が100万円かかっても、窓口負担が数十万円になるわけではありません。ただし、上限額は年収区分で異なり、制度改定の議論も続いています。最新の上限額は厚生労働省のページで確認してください。差額ベッド代・食事代・先進医療の技術料は対象外です。

傷病手当金:病気やケガで休んだときの所得補償

病気やケガで働けず給与が出ない場合、傷病手当金(全国健康保険協会)が支給されます。目安は標準報酬日額の3分の2で、支給期間は支給開始日から通算1年6か月です。これは国民健康保険にはない、会社員ならではの強みです。

労災保険・雇用保険・厚生年金

  • 労災保険:仕事中・通勤中のケガや病気は、療養の費用が原則自己負担なしで給付されます(厚生労働省)。
  • 雇用保険:失業したときの基本手当のほか、育児休業給付などがあります。
  • 厚生年金:加入者が亡くなると遺族厚生年金、一定の障害状態になると障害年金が対象になりえます(日本年金機構)。

会社員が削りやすい民間保険・特約の具体名

ここからが本題です。公的保障と重複しやすいものを、見直し優先度の高い順に挙げます。

① 医療保険の「入院一時金」「手術給付金」が手厚すぎるプラン

高額療養費があるため、医療費の自己負担が青天井になることは基本的にありません。貯蓄で数十万円を出せる人は、入院日額1万円・手術給付金が高額な医療保険は、保障を絞る余地があります。

② 特約:ガン診断一時金の上乗せ・通院特約・女性疾病特約

  • 通院特約:通院の自己負担は3割で、高額療養費の対象でもあります。
  • 女性疾病入院特約:基本の入院給付で足りる場合が多く、上乗せの優先度は低めです。
  • 三大疾病・七大疾病特約:対象の条件が限定的です。給付条件を必ず約款で確認しましょう。
  • 災害割増特約・傷害特約:事故での死亡・入院に上乗せする特約です。生命保険本体や死亡保障が十分なら重複しがちです。

③ 死亡保障の大きすぎる定期保険・収入保障保険

遺族厚生年金があり、勤務先の団体定期保険や死亡退職金が出る会社もあります。独身・共働き・子どもが独立済みの人は、死亡保障額を大幅に下げられるケースがあります。逆に、子どもが小さい世帯は必要保障額を試算してから決めてください。

④ 就業不能保険(会社員の場合は要検討)

傷病手当金で最長1年6か月は所得の一部が補われます。ただし、1年6か月を超える長期の休業は公的保障が薄くなります。貯蓄と家族構成を見て、必要かどうか判断しましょう。

⑤ 貯蓄型の保険(学資保険・終身保険・個人年金)

解約すると元本割れするものもあるため、慌てて解約しないことが大切です。返戻率や払込期間を確認し、新NISAやiDeCoと比べて判断してください。

⑥ 少額短期保険・携帯保証・クレカ付帯と重複するもの

クレジットカードの海外旅行保険、携帯電話の補償、自動車保険の特約は、複数の契約で同じ保障が重なりやすい分野です。付帯内容を確認し、重複分を整理しましょう。

注意:削らないほうがいい保険・特約もある

すべての保険を削ればよいわけではありません。次のものは、見直しても残す判断が多くなります。

  • 個人賠償責任保険:自転車事故などで高額賠償になりうる一方、保険料は月数百円程度のことが多い保障です。
  • 火災保険・地震保険(持ち家・賃貸の借家人賠償)
  • 自動車保険の対人・対物無制限
  • 先進医療特約:技術料が全額自己負担で高額になる場合があります。月額数百円程度で付けられるなら、残す選択肢もあります。
  • 子どもの小さい世帯の死亡保障

基準は「公的保障で足りない部分だけを、貯蓄で足りない分だけ補う」ことです。

解約前に確認する手順と注意点

  1. 保険証券を全部並べる:契約ごとの月額保険料と特約を一覧にします。
  2. 公的保障を試算する:ねんきん定期便や協会けんぽの情報を確認します。
  3. 生活防衛資金を確認する:生活費の3〜6か月分を目安に、貯蓄を用意できているか見ます。
  4. 健康状態を考慮する:一度解約すると、再加入時に健康状態の告知で入れない場合があります。
  5. 新しい契約が決まってから解約する:保障の空白期間を作らないためです。
  6. 特約単位で外せるか確認する:解約せず特約だけ外せば、主契約を維持したまま保険料を下げられます。

また、保険料の削減額は契約内容により異なり、「必ず月◯万円浮く」とは言えません。まずは証券を並べて、重複を探すことから始めてみましょう。

FAQ

会社員に民間の医療保険は不要ですか?

一律に不要とは言えません。高額療養費と傷病手当金があるため必要性は下がりますが、貯蓄が少ない人や差額ベッド代に備えたい人には意味があります。貯蓄額と照らして判断しましょう。

高額療養費はいくらまで自己負担になりますか?

年収区分で異なります。年収約370万〜770万円なら、80,100円+(医療費−267,000円)×1%が基本の式です。制度改定もあるため、協会けんぽや厚生労働省の最新情報で確認してください。

特約だけ外して保険料を下げることはできますか?

多くの保険会社では、主契約を残したまま特約のみ解約できます。ただし、後から付け直せない特約もあります。コールセンターか担当者に、解約後の保障内容を確認してから手続きしましょう。

貯蓄型保険は解約すると損ですか?

契約から年数が浅いと、解約返戻金が払込保険料を下回ることがあります。返戻率は証券や保険会社の試算で必ず確認し、払済保険への変更も選択肢に入れましょう。

退職・転職したときは保険を見直すべきですか?

はい。会社員から個人事業主やフリーランスになると、傷病手当金などがなくなり、保障の前提が変わります。そのときは必要保障を再計算してください。

参考文献