2025年10月22日、メルカリの利用規約が大きく改定された。個人アカウントでの事業的な販売が明確に禁止され、せどり・転売を続けるならメルカリShopsへの移行が必須になった。
物販時代に月商400万を超えた経験がある筆者だが、在庫地獄で一度撤退した過去がある。だからこそ、規約変更で焦っているせどらーの気持ちは痛いほど分かる。この記事では、移行の具体的な手順・手数料の違い・AI監視の仕組み・移行後の出品戦略を、実数字で整理した。
2025年10月の規約改定で何が変わったのか
2025年10月22日施行のメルカリ利用規約改定で、法人・個人事業主による個人アカウントでの出品が規約上も明確に禁止された。
具体的には、以下の行為が「事業的販売」と見なされる。
- 商品を仕入れて継続的に販売する(せどり・転売)
- 1ヶ月に200点以上、または1度に100点以上の出品
- 過去1ヶ月間の取引総額が100万円以上
- ハンドメイド品を量産して反復的に出品する
この基準は、消費者庁の「インターネット・オークションにおける『販売業者』に係るガイドライン」に準拠している。つまり、本業か副業かは関係ない。ビジネスとして物を売っているなら、個人アカウントは使えなくなった。
結論から言うと、月に10〜20品程度の不用品処分なら今まで通り個人アカウントで問題ない。だが、仕入れて売るスタイルで月5万円以上を目指しているなら、メルカリShopsへの移行は避けて通れない。
メルカリShopsとは?個人アカウントとの違い
メルカリShopsは、メルカリが提供する事業者向けの販売プラットフォームだ。個人アカウントのメルカリと同じ購入者層(月間利用者数2,300万人以上)にリーチできるのが最大の強みとなっている。
メルカリ公式の手数料ページによると、2026年7月時点の手数料体系は以下の通りだ。
| 項目 | メルカリ(個人) | メルカリShops |
|---|---|---|
| 初期費用 | 無料 | 無料 |
| 月額利用料 | 無料 | 無料 |
| 販売手数料 | 10% | 10% |
| 振込手数料 | 200円/回 | 200円/回 |
| 決済手数料 | なし(販売手数料に含む) | なし(販売手数料に含む) |
| 在庫管理 | 1出品1点 | 1出品で複数在庫OK |
| 値下げ交渉 | あり(コメント経由) | なし |
| CSV一括出品 | 不可 | 対応 |
要するに、手数料率は同じ10%だ。初期費用・月額もゼロ。コスト面で不利になることはない。むしろ在庫管理やCSV一括出品など、せどらーにとって業務効率が上がる機能が揃っている。
メルカリShops開設の手順(個人事業主向け)
開設はスマホのメルカリアプリからでも、PCのWebブラウザからでも可能だ。開設手順の詳細は以下の通り。
Step 1:メルカリアカウントの準備
メルカリShopsは既存のメルカリアカウントに紐づけて開設する。まだアカウントがない場合は先に作成しておく。すでに個人アカウントで販売していた場合は、そのアカウントにShopsを追加する形になる。
Step 2:ショップ開設申し込み
メルカリアプリのマイページまたはメルカリShops公式サイトから「ショップを開設する」をタップ。以下の情報を入力する。
- 事業種別の選択(個人事業主 or 法人)
- 氏名・住所・生年月日
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- 銀行口座情報(売上振込先)
- ショップ名・ショップ説明文
Step 3:審査
申し込み後、メルカリ側の審査が行われる。通常は即日〜3営業日程度で結果がメールで届く。古物商許可証の番号を入力する欄があるため、せどりで使うなら事前に古物商許可を取得しておくことを強く推奨する。
Step 4:ショップ設定と出品開始
審査通過後、ショップロゴ・背景画像・送料設定などを整えて出品を開始する。個人アカウント時代の評価や実績は引き継がれないが、購入者からは同じメルカリアプリ内で商品が表示されるため、集客面のハードルは低い。
メルカリのAI監視システムと「事業者判定」の仕組み
メルカリの公式監視体制ページによると、メルカリは24時間体制でAIと有人の二重チェックを行っている。2025年下半期だけで不正アカウントの利用制限件数は前年同期比58%増の約76万件に達したと日本経済新聞が報道している。
AIが見ているのは「悪意」ではなく、行動ログの異常値だ。具体的には以下の指標がスコア化されている。
- 出品頻度: 1日あたりの出品数が一般ユーザーの平均から大きく逸脱していないか
- 売上率: 出品数に対する実際の売上率が10%を下回ると制限リスクが上がるとされている
- キャンセル頻度: 購入者都合・出品者都合のキャンセル比率
- 通報件数: 他ユーザーからの通報の蓄積
- 商品削除回数: 規約違反で商品が削除された回数
- 価格変動パターン: 極端な値上げ・値下げの繰り返し
つまり、個人アカウントで「少量をゆっくり」売っていても、上記の指標で事業者的パターンと判定されれば出品制限がかかる可能性がある。逆に言えば、メルカリShopsに正しく移行すれば、こうしたリスクをゼロにできる。
移行後のメルカリShops出品戦略
メルカリShopsに移行したら終わりではない。個人アカウント時代とは異なる戦略が求められる。
1. 在庫管理の一元化を活用する
メルカリShopsでは1つの商品ページに複数の在庫を紐づけられる。個人アカウント時代のように同じ商品を何件も出品する必要がないため、出品作業が大幅に効率化される。CSV一括出品にも対応しているので、50品以上を扱うなら活用すべきだ。
2. ショップページをブランド化する
Shopsでは独自のショップページを持てる。ロゴ・背景画像・ショップ説明文を丁寧に作り込むことで、リピーターを獲得しやすくなる。「このショップから買えば安心」と思わせる信頼構築が、個人アカウントとの最大の差別化ポイントだ。
3. 値下げ交渉がないメリットを活かす
メルカリShopsではコメント欄での値下げ交渉がない。つまり、適正価格で出品すればその価格で売れる。値下げ対応に費やしていた時間を、リサーチや仕入れに回せるのは大きい。
4. 送料設定を最適化する
Shopsでは送料込み・送料別を商品ごとに選べる。利益率の低い商品は送料別にして、高単価商品は送料込みにするなど、柔軟な価格設定が可能だ。
5. 他販路との併用でリスク分散
メルカリShopsだけに依存するのはリスクが高い。筆者が物販をやっていた時代、メルカリ一本で月商400万まで伸ばしたが、アルゴリズム変更で一気に売上が落ちた経験がある。Amazon FBA・ヤフオク・ラクマなど、複数販路を持つことで収益の安定性は格段に上がる。
移行時の注意点とよくある失敗
古物商許可は必ず取得する
中古品を仕入れて販売する場合、古物商許可が法律上必要だ。メルカリShopsの開設時にも古物商許可番号の入力欄がある。未取得のまま営業すると、古物営業法違反で3年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になる。申請から取得まで約40日かかるため、早めに動こう。
確定申告の準備
メルカリShopsで事業として販売する以上、年間所得が20万円を超える場合は確定申告が必要だ(給与所得者の場合)。売上・仕入れ・経費の記録は、freeeなどのクラウド会計ソフトで日頃から管理しておくと確定申告時に慌てずに済む。
個人アカウントの評価は引き継がれない
メルカリShopsに移行しても、個人アカウント時代の評価・実績はショップには反映されない。最初はゼロからのスタートになるため、初期の数十件は丁寧な対応と迅速な発送で評価を積み上げることが重要だ。
FAQ
個人アカウントでの不用品販売も禁止されるのですか?
いいえ。自分で使っていた物の処分(不用品販売)は引き続き個人アカウントで可能です。禁止されるのは「仕入れて売る」などの事業的な販売行為です。
メルカリShopsの開設に費用はかかりますか?
初期費用・月額利用料ともに無料です。販売手数料10%と振込手数料200円/回のみが発生します。個人アカウントと手数料率は同じです。
古物商許可がないとメルカリShopsは開設できませんか?
開設自体は古物商許可がなくても可能です。ただし中古品を仕入れて販売する場合は古物営業法で許可が義務づけられています。せどりをするなら必ず取得してください。
個人アカウントの商品をShopsに移動できますか?
自動的に移行する機能はありません。Shopsで新たに出品し直す必要があります。CSV一括出品機能を使えば効率的に再出品できます。
メルカリShopsでもAI監視は行われますか?
はい。メルカリShopsでも禁止事項に該当する行為はAIと有人で監視されています。ただし事業者として正規に登録しているため、出品数や売上額による「事業者判定」で制限を受けることはありません。
参考文献
- フリマアプリ「メルカリ」への法人・個人事業主による登録は禁止を明確化 — メルカリ Column, 2025年
- 事業者は「個人アカウント」利用不可に きょうから規約改定 — ITmedia Mobile, 2025年10月22日
- メルカリ、25年下半期に不正アカウント76万件制限 AIで監視 — 日本経済新聞, 2026年
- メルカリShopsの手数料ってどのくらい? — メルカリ Column
- 不正行為やトラブルを未然に防ぐ監視体制 — メルカリびより公式サイト
- メルカリShopsの手数料 — メルカリShopsガイド
- インターネット・オークションにおける「販売業者」に係るガイドライン — 消費者庁