2025年10月、メルカリは利用規約を改定し、事業者による出品を全面的に禁止した。これまでグレーゾーンとされてきた「個人名義だが実質は事業規模」の出品者が一斉に規制対象となり、アカウント停止の報告がSNS上で相次いでいる。

筆者自身、せどり全盛期に月商400万を超えていた時期がある。あの頃の出品ペースで今のメルカリに出していたら、間違いなくアカウントを止められていたはずだ。だからこそ、個人として継続的にメルカリを使い続けるための線引きと、メルカリ以外の販路を押さえておく重要性は身をもって感じている。

この記事では、2025年10月の規約改定の要点を整理した上で、個人せどらーが今後取るべき5つの具体的な戦略を解説する。

メルカリ事業者出品禁止の背景と規約改定のポイント

メルカリは2025年10月1日付で利用規約第9条を改定し、「営利を目的とした事業者による出品」を明確に禁止した(メルカリ利用規約)。改定の背景には、特定商取引法(特商法)に基づく表示義務の強化と、消費者庁によるフリマアプリ上の事業者取引に関する実態調査(2024年公表)がある。

要するに、「反復継続して利益を得る目的での出品は事業行為であり、個人間取引を前提としたメルカリの場にはそぐわない」というのがメルカリの立場だ。

具体的に規制対象となるのは以下のようなケースだ。

  • 同一商品を大量に仕入れて繰り返し出品する行為
  • 月間出品数が著しく多い(目安として月50品以上が監視対象とされる)
  • 新品・未使用品を継続的に出品し、仕入れ元が明らかに卸・海外ECである場合
  • メルカリShopsへの移行を促されたにもかかわらず個人アカウントで出品を続ける場合

なお、メルカリShopsは事業者向けに特商法表示を備えた出品が可能なプラットフォームとして引き続き利用できる。ただし、特商法に基づく氏名・住所の公開が必要になるため、個人の副業レベルでは抵抗がある人も多いのが実情だ。

戦略1:出品頻度と数量を「個人の不用品処分」の範囲に抑える

結論から言うと、個人アカウントで安全に出品を続けるには「月20〜30品、同一商品は3点まで」を目安にするのが現実的だ。

メルカリの監視アルゴリズムは、出品頻度・同一画像の再利用・価格帯の均一性などを複合的にスコアリングしていると考えられる。2025年10月以降、以下の行動パターンでアカウント制限を受けたという報告がX上で複数確認されている。

  • 1日に10品以上を連続出品
  • 同一カテゴリの新品商品を週に20品以上出品
  • 出品説明文がテンプレートのコピペで統一されている

対策としては、出品を1日2〜3品に分散させること、商品写真は1点ずつ撮り直すこと、説明文は商品ごとに書き分けることが基本になる。手間はかかるが、アカウントを守るコストだと割り切ろう。

戦略2:商品ジャンルを「個人所有品として自然なもの」に寄せる

監視の目が厳しくなった今、扱うジャンルの選定も重要だ。

「新品・未開封品を大量に出品」は最も目を付けられやすい。逆に、中古品・使用感のある日用品・趣味のコレクション整理などは「個人の不用品処分」として自然に映る。

具体的に個人アカウントと相性が良いジャンルは以下の通りだ。

  • 古着・ブランド品:使用済み品が前提のカテゴリ。古物商許可(各都道府県公安委員会)を取得しておくと、仕入れ販売でも法的に問題ない
  • 書籍・参考書:読み終わった本の処分は最も自然な出品理由
  • ホビー・コレクション品:フィギュア、トレカ、ゲームソフトなど趣味の入れ替え
  • 季節家電・育児用品:子どもの成長に伴う不用品は説明しやすい

自分も三児の母として、子ども服やベビー用品の出品はかなりやってきた。これらは出品理由が明確で、アカウントリスクが低いジャンルだ。

戦略3:アカウント運用を「健全な個人利用者」として整える

出品内容だけでなく、アカウント全体の「見え方」を整えることも大切だ。

以下のポイントを押さえておこう。

  • プロフィール文:「不用品の整理をしています」など個人利用を明示する。「即購入OK」「まとめ買い値引き」など業者的な文言は避ける
  • 評価の管理:購入も定期的に行い、売り専用アカウントにしない。月に数回は自分でも買い物をする
  • 取引メッセージ:丁寧な個人間のやり取りを心がける。テンプレート的な定型文の連発は機械的な印象を与える
  • 本人確認アプリでかんたん本人確認を済ませておく。本人確認済みアカウントの方が信頼度スコアは高いとされる

つまり、「この人は普通に不用品を売っている個人だな」とアルゴリズムにも購入者にも見えるアカウントを目指すということだ。

戦略4:メルカリ以外の販路を確保して収益を分散する

正直なところ、メルカリ1本に依存するのはリスクが高すぎる。自分が在庫地獄で月15万の倉庫代を払っていた時期も、販路がメルカリだけだったことが傷を深くした原因の一つだ。

2026年6月時点で、個人せどらーが検討すべき主な販路は以下の通り。

プラットフォーム販売手数料(税込)特徴
ラクマ6.6%メルカリより手数料が安い。楽天ポイント連携
Yahoo!フリマ5%手数料最安水準。PayPay経済圏との相性◎
ヤフオク!8.8%〜10%希少品・コレクター品はオークション形式で高値がつきやすい
Amazon(小口出品)8%〜15%+100円/点FBA利用で発送の手間を削減。新品向き
メルカリShops10%事業者として正式に出品可能。特商法表示が必要

おすすめの分散比率は、メルカリ(個人利用の範囲)30%、Yahoo!フリマ30%、ラクマ20%、その他20%を目安にすることだ。同じ商品を複数プラットフォームに同時出品し、売れたら他を取り下げる「マルチ出品」が効率的だが、在庫管理の手間は増えるので注意しよう。

戦略5:メルカリShopsや自社ECへの移行を検討する

月間の販売額が継続的に10万円を超えるなら、いっそ事業者として出品する道も検討すべきだ。

メルカリShopsは個人事業主でも開設でき、手数料は通常のメルカリと同じ10%(税込)。特商法に基づく表示(氏名・住所・電話番号)が必要になるが、バーチャルオフィスの住所を利用すれば自宅住所の公開は避けられる。バーチャルオフィスは月額500〜3,000円程度で契約可能だ。

さらに本格的に展開するなら、BASEShopifyで自社ECを構築する選択肢もある。BASEは初期費用・月額無料(決済手数料3.6%+40円+サービス利用料3%)、Shopifyはベーシックプランで月額4,850円(税込、2026年6月時点)だ。

事業者として出品する場合は、以下の手続きも必要になる。

  • 開業届の提出国税庁に開業届を提出(無料・オンライン可)
  • 古物商許可の取得:中古品を仕入れて販売する場合は必須。管轄の警察署に申請、手数料19,000円
  • 確定申告の準備:年間所得20万円超で確定申告が必要。freeeなどのクラウド会計で記帳を習慣にしておくとよい

個人せどらーが今すぐやるべきアクションリスト

ここまでの5つの戦略を踏まえ、今日から着手できるアクションを整理した。

  1. 出品ペースの見直し:直近1ヶ月の出品数を確認し、月30品以内に収まっているかチェック
  2. 出品中の商品の棚卸し:同一商品が4点以上ないか、新品比率が高すぎないか確認
  3. プロフィール文の修正:業者的な文言を削除し、個人利用者としての自己紹介に書き換え
  4. Yahoo!フリマ・ラクマのアカウント開設:まだ持っていなければ今日中に開設して販路を分散
  5. 古物商許可の申請:未取得なら最寄りの警察署に問い合わせ。申請から交付まで約40日
  6. 売上記録の習慣化:Googleスプレッドシートでもよいので、仕入れ値・売値・手数料を毎回記録

FAQ

メルカリで月に何品まで出品すれば事業者扱いされない?

メルカリは具体的な数値基準を公表していないが、月50品以上の出品は監視対象になりやすいとされている。安全圏は月20〜30品程度。ただし品数だけでなく、同一商品の反復出品や新品比率なども総合的に判断される。

すでにアカウント制限を受けた場合、復活は可能?

一時的な利用制限であれば、メルカリ事務局に問い合わせて改善策を提示すれば解除される場合がある。ただし無期限停止の場合は復活が難しい。新規アカウントの作成は規約違反となるため注意が必要だ。

古物商許可は個人の副業せどりでも必要?

中古品を仕入れて販売する場合、反復継続の意思があれば古物商許可が必要だ(古物営業法)。自分の不用品を売るだけなら不要だが、せどり目的の仕入れ品を扱うなら取得しておくべきだ。申請費用は19,000円、交付まで約40日。

メルカリShopsと個人アカウントは併用できる?

併用は可能だ。個人アカウントでは不用品処分、Shopsでは仕入れ品の販売と使い分ける運用が現実的。ただし、個人アカウントで事業的な出品をしていると判断されればアカウント制限の対象になる点は変わらない。

副業せどりの確定申告はいくらから必要?

会社員の場合、せどりによる年間所得(売上−経費)が20万円を超えると所得税の確定申告が必要だ(国税庁)。ただし20万円以下でも住民税の申告は必要なので注意。経費には仕入れ値・送料・梱包材・通信費などが含まれる。

参考文献