2026年4月、SBI証券の積立設定金額ランキングに変化が起きた。不動の1位・2位であるオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)とS&P500に次いで、「日経平均高配当株50インデックスファンド」が急浮上している。つみたて投資枠の対象ファンド353本(2026年4月時点)の中で、国内高配当株に連動するインデックスファンドがここまで支持を集めるのは異例だ。
編集部で実際に積立設定を3ファンドに分散してみたところ、円高が進んだ2025年後半〜2026年初にかけて、外国株100%のポートフォリオより値動きが安定した局面があった。この記事では、オルカン一本で不安を感じている人向けに、3ファンドの中身を数字で比較し、分散戦略の具体案を整理する。
SBI証券 積立設定金額ランキング — 2026年4月の注目変動
SBI証券が毎月公開している「投信積立設定金額ランキング」によると、2026年4月時点の上位3本は以下のとおりだ。
| 順位 | ファンド名 | 信託報酬(税込) | 投資対象 |
|---|---|---|---|
| 1位 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 年0.05775% | 全世界株式(先進国+新興国) |
| 2位 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 年0.09372% | 米国大型株500銘柄 |
| 3位 | 日経平均高配当株50インデックスファンド | 年0.2%前後 | 日経225のうち配当利回り上位50銘柄 |
1位と2位は2024年の新NISA開始以来ほぼ不動だが、3位に国内高配当株ファンドが食い込んだのは2026年に入ってからの動きだ。背景には、2025年後半から続く円高トレンドと、配当を再投資しながら安定収益を狙いたい層の拡大がある。
オルカン・S&P500・高配当株50 — 3ファンドの中身を比較
結論から言うと、3本は「何に賭けているか」がまったく違う。
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)
MSCI ACWI(全世界株式指数)に連動し、約50カ国・約2,800銘柄に分散投資する。2026年4月時点で米国株の比率は約60%。つまり「全世界」と言いつつ米国の影響を大きく受ける。信託報酬は年0.05775%(税込)と業界最安水準だ。
S&P500(eMAXIS Slim 米国株式)
米国の大型株500銘柄で構成されるS&P500指数に連動する。GAFAM+NVIDIAなどテック大型株の比率が高く、成長期待が大きい反面、ドル建て資産100%のため為替リスクもそのまま負う。
日経平均高配当株50インデックス
日経平均高配当利回り株価指数は、日経225採用銘柄のうち予想配当利回りが高い上位50銘柄で構成される。2026年4月時点の指数ベースの予想配当利回りは約3.5%前後(日本経済新聞社公表値)。銘柄は毎年6月に入れ替えがあり、銀行・商社・通信・保険など業種が分散している点が特徴だ。
為替の影響を整理すると、オルカンとS&P500は円高が進むと基準価額が下がる(外貨建て資産の円換算額が目減り)。一方、高配当株50は円建て資産なので為替変動の直接的な影響を受けない。
円高局面で「国内高配当株」が選ばれる理由
2025年7月に1ドル=152円台だった為替レートは、2026年4月には140円台前半まで円高が進んだ。この約12円の円高は、ドル建て資産を持つ投資家の評価額を直撃した。
たとえば、S&P500ファンドに100万円を投資していた場合、指数自体が横ばいでも円高だけで約7〜8%の評価額下落につながる計算だ。読者からよく聞かれるのが「オルカンが下がったのは株が下がったから?」という質問だが、実際には為替要因が大きいケースも多い。
こうした局面で、円建ての国内株ファンドが「為替ヘッジ不要の分散先」として注目されるのは合理的だ。加えて、高配当株50は配当利回り3%台のインカム収益が期待できるため、キャピタルゲイン(値上がり益)が不透明な時期にも一定のリターンの裏付けがある。
月3万円で3ファンド分散 — 具体的な配分プラン
「オルカン一本でいいのか不安だけど、何をどれだけ買えばいいか分からない」という人向けに、月3万円の積立を3ファンドに分散するプランを2パターン提示する。
パターンA: 安定重視型
| ファンド | 配分 | 月額 |
|---|---|---|
| オルカン | 50% | 15,000円 |
| S&P500 | 20% | 6,000円 |
| 高配当株50 | 30% | 9,000円 |
円高リスクを抑えつつ世界分散も維持したい人向け。国内株比率を30%にすることで、為替変動のインパクトを緩和する。
パターンB: 成長追求型
| ファンド | 配分 | 月額 |
|---|---|---|
| オルカン | 60% | 18,000円 |
| S&P500 | 25% | 7,500円 |
| 高配当株50 | 15% | 4,500円 |
長期的な成長を優先しつつ、高配当株50を「お守り枠」として少額組み入れるパターン。20代〜30代で投資期間が20年以上ある人に向いている。
どちらのパターンも、つみたて投資枠の年間上限120万円(月10万円)の範囲内で設定できる。なお、金融庁のつみたて投資枠対象商品リストで対象ファンドかどうかを事前に確認しておこう。
高配当株50を積み立てる前に知っておくべき注意点
高配当株50は万能ではない。積立を始める前に、以下の点を押さえておくべきだ。
銘柄の偏り: 日経225の中から配当利回り上位50銘柄を抽出するため、金融・商社・通信に偏りやすい。テクノロジー系の成長株はほとんど含まれない。
配当利回りは変動する: 「予想配当利回り3.5%」はあくまで2026年4月時点の数値であり、企業の業績悪化や減配で下がる可能性がある。過去には指数ベースで2%台まで下がった時期もある。
信託報酬はオルカンの約3〜4倍: 年0.2%前後と低コストではあるが、オルカンの0.05775%と比較すると差がある。20年間の積立では、この差が複利で効いてくる。
つみたて投資枠の対象ファンドを確認: 同じ指数に連動するファンドでも、分配金を出すタイプはつみたて投資枠の対象外になる場合がある。「分配金再投資型」を選ぶこと。
FAQ
高配当株50はつみたて投資枠で買えますか?
日経平均高配当株50インデックスに連動する投資信託のうち、分配金再投資型で信託報酬が一定以下のものはつみたて投資枠の対象です。証券会社の「つみたて投資枠対象」フィルタで確認してください。
オルカン一本と3ファンド分散、どちらが有利ですか?
長期的なリターンの期待値はオルカン一本が高い可能性がありますが、円高局面での下落幅を抑えたい場合は国内株を組み入れる分散が有効です。投資期間とリスク許容度で判断しましょう。
高配当株50の配当金はNISA口座なら非課税ですか?
NISA口座(つみたて投資枠・成長投資枠とも)で保有する投資信託の分配金・譲渡益は非課税です。ただし、分配金再投資型の場合、分配金は自動的に再投資されるため「手取りで配当を受け取る」形にはなりません。
SBI証券以外でも同じファンドを積立できますか?
楽天証券・マネックス証券・松井証券など主要ネット証券で同一ファンドの取り扱いがあります。ランキング順位は証券会社ごとに異なりますが、ファンド自体は同じものです。
参考文献
- 日経平均高配当利回り株価指数 — 日本経済新聞社
- つみたて投資枠対象商品 — 金融庁
- SBI証券 投信積立ランキング — SBI証券
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) — 三菱UFJアセットマネジメント
- S&P 500 指数 — S&P Global