2026年5月30日、X(旧Twitter)のコミュニティ機能「X Communities」が完全に廃止される。利用率わずか0.4%にもかかわらず、プラットフォーム全体のスパム報告の80%を占めていたことが廃止の直接的な理由だ(TechCrunch, 2026年4月23日)。
自分もX運用歴8年の中で、コミュニティ機能を使って副業系の情報交換グループを運営していた時期がある。メンバー300人規模だったが、スパムBotの処理に毎日30分は取られていた。正直、廃止の知らせを聞いたときは「やっぱりか」という感想だった。
この記事では、Communities経由でフォロワーとの接点を持っていた運営者に向けて、XChat・Discord・LINEオープンチャットへの具体的な移行手順と、コミュニティ経由のアフィリエイト・有料コンテンツ販売の導線を再構築する方法を解説する。
X Communitiesが廃止される背景と影響
X社のプロダクト責任者Nikita Bier氏は、2026年4月23日に廃止を発表した。当初の廃止予定日は5月6日だったが、ユーザーからの反発を受けて5月30日まで延長された(ITmedia NEWS, 2026年4月24日)。
廃止の主な理由は以下の2点だ。
- 利用率の低さ: 全ユーザーの0.4%未満しかCommunitiesを利用していなかった
- スパムの温床: プラットフォーム全体のスパム報告の80%、金融詐欺やマルウェア配布の大半がCommunities経由だった
つまり、ごく少数しか使っていないのに、運営リソースの大半を食い潰していた機能だったということだ。
影響を受けるのは、Communitiesを「フォロワーとの深い接点」として活用していた運営者だ。特に副業系・投資系のコミュニティを運営していた人は、メンバーとの連絡手段と収益導線を同時に失うことになる。
移行先①:XChat グループチャット(X内で完結したい人向け)
X社が公式に推奨している移行先が、XChatのグループチャットだ。2026年5月時点の仕様は以下のとおり。
- 参加上限: 現在500人。数週間以内に1,000人に拡大予定(Neowin, 2026年4月)
- 公開リンク: 誰でも参加できる招待リンクを発行可能
- 機能: エンドツーエンド暗号化、スクリーンショットブロック、消えるメッセージ、ビデオ通話
- 広告: なし(2026年5月時点)
移行手順(5月30日までにやること)
- XChatでグループチャットを作成し、招待リンクを発行する
- Communities内に招待リンクをピン留め投稿する
- 移行を促す告知ポストをタイムラインに固定する
- 廃止日(5月30日)までに主要メンバーの移行を確認する
メリットと注意点
X内で完結するため、フォロワーの離脱が最小限に抑えられる点が最大のメリットだ。ただし、上限1,000人では大規模コミュニティの移行は難しい。1,000人超のコミュニティは分割が必要になる。
収益導線の観点: XChatにはアフィリエイトリンクを直接貼れるが、チャットの流速が速いため、固定メッセージやピン留めを活用しないとリンクが埋もれる。有料コンテンツへの導線としては、noteやBrainのリンクをピン留めする運用が現実的だ。
移行先②:Discord(収益化機能が最も充実)
収益導線の再設計を重視するなら、Discordが最有力の選択肢だ。2026年5月時点で、以下の収益化機能が利用できる。
Discordの収益化手段
- Server Subscriptions(サーバーサブスクリプション): 月額課金をサーバー内で完結できる。収益分配はクリエイター90%・Discord10%で、YouTube(70:30)やTwitch(50:50)と比較して圧倒的にクリエイター有利(AdvLaunch, 2026年)
- ロール別チャンネル: 無料メンバーと有料メンバーでアクセスできるチャンネルを分けられる
- アフィリエイト: 専用チャンネルでレビューや商品紹介を投稿し、リンクを設置可能
- 外部サービス連携: Whop、Launchpassなどのゲーティングサービスで追加の課金導線を構築できる
収益の目安(2026年時点の実例)
小〜中規模のクリエイター(メンバー数百人)で月300〜1,000ドル(約4.5万〜15万円)、大規模サーバー(数千人)で月5,000〜10,000ドル(約75万〜150万円)という報告がある(EarnLab, 2026年)。ただし、これはサブスクリプション+アフィリエイト+コンサルなど複数の収益源を組み合わせた場合の数字だ。
X → Discord 移行手順
- Discordサーバーを作成し、チャンネル構成を設計する(例: #自己紹介、#質問、#有料限定、#アフィリエイトおすすめ)
- Server Subscriptionsを有効化する(Discordの公式ヘルプを参照)
- Xのプロフィール・固定ポストにDiscordの招待リンクを掲載する
- Communities内で「Discordに移行します」と告知し、招待リンクをピン留めする
- 移行期間中(5月30日まで)は両方で並行運用し、徐々にDiscordへ誘導する
注意: アフィリエイトリンクを掲載する場合、FTC(米国連邦取引委員会)ガイドラインおよび日本の景品表示法に基づき、「PR」「広告」「アフィリエイトリンクです」といった明示が必要だ。
移行先③:LINEオープンチャット(日本国内ユーザー向け)
日本国内のフォロワーが中心なら、LINEオープンチャットも有力な選択肢だ。月間利用者数は国内で約9,500万人(2026年時点)と圧倒的なリーチがある。
LINEオープンチャットの特徴
- 参加上限: 最大5,000人(XChatの5倍)
- 匿名参加: LINEの友だちに知られずに参加できるため、心理的ハードルが低い
- メッセージ制限なし: LINE公式アカウントと違い、配信数の上限がない
- アフィリエイトリンク: LINE公式アカウントでは禁止されているが、オープンチャットでは投稿可能
収益導線の設計
LINEオープンチャットは直接的な課金機能を持たない。そのため、以下のような外部導線を組み合わせる。
- アフィリエイト: 商品レビューやおすすめツールの紹介にアフィリエイトリンクを添える
- 有料コンテンツ誘導: note・Brain・Tipsなどの有料記事リンクを定期的にシェアする
- LINE公式アカウントへの誘導: オープンチャットから公式アカウントへ誘導し、ステップ配信で商品販売する
- コンサル・個別相談: チャット内で信頼を構築し、有料の個別相談に繋げる
注意: オープンチャットは誰でも閲覧可能な場合があるため、個人情報の取り扱いや炎上リスクに配慮した運用ルールを事前に設けること。
3つの移行先の比較と選び方
結論から言うと、「どれか1つ」ではなく、目的に応じて使い分けるのが現実的だ。
| 比較項目 | XChat | Discord | LINEオープンチャット |
|---|---|---|---|
| 参加上限 | 500人→1,000人予定 | 無制限 | 5,000人 |
| 課金機能 | なし | Server Subscriptions(90:10) | なし(外部連携) |
| アフィリエイト | リンク投稿可 | リンク投稿可 | リンク投稿可 |
| 匿名性 | Xアカウント必須 | Discord専用アカウント | 匿名参加可能 |
| 国内リーチ | 中 | 中(ゲーマー層が中心) | 高(9,500万人) |
| 移行コスト | 低(X内で完結) | 中(別アプリ導入) | 中(別アプリ導入) |
| おすすめ用途 | 速報・雑談 | 有料コミュニティ運営 | 国内の集客・導線 |
筆者のおすすめ構成
自分がクライアントのSNS運用を代行してきた経験から言うと、以下の「ハイブリッド構成」が最もリスクが低い。
- XChatを「入口」にする: Xのフォロワーがそのまま参加できる。速報や雑談の場として活用
- Discordを「有料コミュニティの本拠地」にする: サブスクリプションや限定コンテンツの配信はDiscordに集約
- LINEオープンチャットを「日本国内の集客口」にする: Xを使っていない層にもリーチできる
1つのプラットフォームに依存すると、今回のように突然の仕様変更で導線が丸ごと消える。分散しておくことがリスクヘッジになる。
収益導線の再設計チェックリスト
移行作業と合わせて、収益導線を以下の順番で再設計しよう。
- 既存の収益源を棚卸しする: Communities経由で発生していたアフィリエイト収益・有料コンテンツ売上・コンサル案件を洗い出す
- 移行先ごとに導線を設計する: 各プラットフォームの特性に合わせて、リンクの配置場所とCTA(行動喚起)を決める
- ピン留め・固定メッセージを整備する: アフィリエイトリンクや有料コンテンツへの導線は流れないようにピン留めする
- FTCガイドライン・景品表示法を確認する: アフィリエイトリンクには「PR」「広告」の明記が必要
- 移行後1ヶ月のKPIを設定する: メンバー移行率、アクティブ率、収益額を追跡する
5月30日の廃止まで残り約2週間(2026年5月時点)。今すぐ動けば、メンバーの大半を新しい場所に移行できる。先延ばしにするほど、離脱する人が増える。
FAQ
X Communitiesのデータはエクスポートできる?
2026年5月時点で、X社はCommunities専用のデータエクスポート機能を提供していない。メンバーリストの取得もAPIでは不可。廃止前に手動でメンバーへ連絡し、移行先への参加を促すしかない。
XChatの1,000人上限で足りない場合はどうする?
1,000人を超えるコミュニティはDiscordかLINEオープンチャット(上限5,000人)への移行が現実的だ。XChat内でグループを分割する方法もあるが、運営コストが増えるためおすすめしない。
Discordのサーバーサブスクリプションは日本から使える?
利用可能だ。ただし、収益の受け取りにはStripeアカウントの連携が必要で、確定申告では雑所得として申告する必要がある。年間20万円を超える場合は確定申告が必須となる(給与所得者の場合)。
LINEオープンチャットでアフィリエイトリンクを貼っても規約違反にならない?
2026年5月時点のLINE利用規約では、オープンチャットでのアフィリエイトリンク投稿は明確に禁止されていない(LINE公式アカウントでは禁止)。ただし、スパム的な連投は通報・削除の対象になるため、情報提供の一環として自然に挿入するのが望ましい。
移行先を1つに絞るならどれがおすすめ?
収益化を最優先にするならDiscord一択だ。Server Subscriptionsの90:10の収益分配は他のプラットフォームと比較して圧倒的に有利。ただし、日本国内のリーチ重視ならLINEオープンチャットの方が参加ハードルが低い。
参考文献
- X is shutting down Communities because of low usage and lots of spam — TechCrunch, 2026年4月23日
- X、コミュニティ機能廃止……「利用率0.4%」「スパムだらけ」で 代替はグルチャ — ITmedia NEWS, 2026年4月24日
- X is shutting down Communities, focusing on XChat instead — Neowin, 2026年4月
- X、コミュニティ機能を非推奨へ。移行先はなぜかチャット機能で、ユーザーから困惑の声 — INTERNET Watch, 2026年4月
- Discord Monetization 2026: How Creators Turn Free Servers Into Paid Communities — AdvLaunch, 2026年
- How to Make Money on Discord: 10 Proven Ways in 2026 — EarnLab, 2026年