Instagram や TikTok を日常的に見ていると、「いかにも広告」ではない、一般ユーザーが撮ったような自然な動画広告が増えていることに気づくはずです。これが UGC(User Generated Content=ユーザー生成コンテンツ)動画 と呼ばれるジャンルで、2025年〜2026年にかけて企業の発注需要が急増しています。
自分はInstagramとTikTokの運用代行をやってきた中で、2025年の後半あたりからクライアントに「UGC動画も作れる人を探している」と相談される回数が明らかに増えました。実際に受託してみると、15〜30秒の短尺動画1本で5,000〜10,000円の単価がつくケースも珍しくありません。
この記事では、UGC動画制作を副業として始めるための具体的な手順を、1本あたりの単価相場・営業DM文面・ポートフォリオの作り方まで解説します。
UGC動画とは?企業が発注する理由と市場背景
UGC動画とは、企業が自社の広告素材として使う目的で、一般クリエイターに制作を委託する動画コンテンツです。従来のインフルエンサーマーケティングとの最大の違いは、フォロワー数が不要な点にあります。
企業が求めているのは「バズるアカウント」ではなく、「リアルなユーザー目線で商品を紹介する動画素材」です。完成した動画はブランドの広告アカウントから配信されるため、クリエイター自身のアカウントで投稿する必要はありません。
この市場が伸びている背景には、Meta社が2024年に広告マネージャの仕様変更を行い、UGC風クリエイティブのCTR(クリック率)が従来のスタジオ撮影素材を上回るデータが複数報告されたことがあります。Statista の2025年レポートによれば、UGCマーケティング市場は2024年の約69億ドルから2026年には約100億ドル規模に拡大すると予測されています。
つまり、フォロワー0人・顔出しなしでも始められる動画系副業として、UGC制作は参入障壁が低いジャンルです。
UGC動画1本あたりの単価相場|3,000〜15,000円のリアル
2026年7月時点で、日本国内のUGC動画制作における1本あたりの単価相場は以下のとおりです。
| 動画の種類 | 尺 | 単価相場(税込) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 開封・レビュー系 | 15〜30秒 | 3,000〜5,000円 | 商品を手元で紹介するだけ。初心者向き |
| 使用感レポート系 | 30〜60秒 | 5,000〜8,000円 | ビフォーアフター構成が多い |
| ストーリー仕立て | 30〜60秒 | 8,000〜12,000円 | 台本あり・構成力が求められる |
| 複数カット編集 | 60秒〜 | 10,000〜15,000円 | カット割り・テロップ・BGM込み |
さらに、継続案件では月3〜5本のセット発注が一般的で、月15,000〜75,000円の安定収入になります。自分がSNS運用代行のクライアント経由で受けた案件では、コスメブランドのリール用UGC動画を月4本×8,000円=月32,000円で半年間継続した実績があります。
海外プラットフォームのBilloやTrendでは、英語圏向けUGC動画1本あたり100〜250ドル(約15,000〜38,000円)が相場とされており、日本市場は今後さらに単価が上がる余地があります。
UGC動画制作に必要な機材とスキル|スマホ1台で始める方法
結論から言うと、初期投資はほぼゼロで始められます。
最低限の機材
- スマートフォン(iPhone 12以降 or Android で4K撮影対応機種)— 手持ちのもので十分
- 三脚 or スマホスタンド — 1,000〜2,000円。100均のものでも可
- 自然光 — 窓際で撮影すれば照明不要。曇天の日の柔らかい光がベスト
あると単価が上がる追加機材
- リングライト — 2,000〜5,000円。夜間撮影や顔出しレビューに
- ピンマイク — 1,500〜3,000円。ナレーション付き動画の音質向上
- 背景布・撮影ボード — 1,000〜2,000円。物撮りの見栄えが格段に上がる
必要なスキル
- 基本的な動画編集 — CapCut(無料)でカット・テロップ・BGM挿入ができれば十分。Adobe Premiere は不要
- 商品の魅力を伝える構成力 — 「フック(冒頭3秒)→ 課題提示 → 商品紹介 → CTA」の4ステップが基本
- トレンドリサーチ — TikTokの「おすすめ」でUGC広告をウォッチし、構成パターンを分析する習慣
編集ソフトは無料のCapCutで十分対応できます。CapCut公式サイトからPC版もダウンロード可能で、スマホ撮影→PC編集のワークフローが効率的です。
ポートフォリオの作り方|案件ゼロでも営業できる構成
UGC副業で最初につまずくのが「実績がないから営業できない」という壁です。これは、自分で撮ったサンプル動画でポートフォリオを作ることで解決できます。
ポートフォリオに入れるべきもの
- サンプルUGC動画 3〜5本 — 手元にある商品(コスメ・ガジェット・食品など)で撮影。実際の案件と同じクオリティで作る
- 対応可能なジャンル — 「コスメ」「食品」「ガジェット」「日用品」など、得意ジャンルを明記
- 制作プロセスの説明 — 「ヒアリング → 構成案提出 → 撮影 → 編集 → 納品」の流れを図解
- 料金表 — 1本あたりの単価と納期を明記(例: 「15〜30秒 5,000円・納期3営業日」)
ポートフォリオの公開場所
最も手軽なのは Googleドライブ に動画をまとめてリンク共有する方法です。見栄えを重視するならCanvaで1ページのポートフォリオサイト風PDFを作るのも有効です。
Instagram のサブアカウントを「UGCポートフォリオ用」として運用し、サンプル動画を投稿しておく方法もあります。DMで営業する際にそのままアカウントを見せられるので、導線がスムーズです。
営業先の見つけ方と営業DM文面のテンプレート
ポートフォリオができたら、次は営業です。UGC案件の獲得方法は大きく3つあります。
方法1: SNSでブランドに直接DM営業
Instagram や X で「UGCクリエイター募集」と投稿しているD2Cブランドに直接DMを送る方法です。特にフォロワー1,000〜30,000人規模の小〜中規模ブランドが狙い目で、専属クリエイターを探していることが多いです。
以下は実際に使える営業DM文面のテンプレートです:
【営業DMテンプレート】
○○様
はじめまして。UGC動画クリエイターの△△と申します。
御社の○○(商品名)を拝見し、ぜひUGC動画でお力になれればとご連絡しました。
普段はInstagram・TikTok向けの15〜60秒のUGC動画を制作しており、コスメ・日用品ジャンルを中心に○本の制作実績があります。
ポートフォリオはこちらです: [リンク]
1本○,○○○円〜、サンプル1本を無料でお試しいただくことも可能です。
ご興味がありましたら、お気軽にご返信ください。
ポイントは「商品名を具体的に挙げる」「サンプル1本無料」で返信率を上げることです。自分の経験では、この文面でDM送信30件に対して返信3〜5件、成約1〜2件が平均的な数字でした。
方法2: クラウドソーシングで案件を探す
クラウドワークスやココナラで「UGC動画」「SNS動画制作」で検索すると、案件が見つかります。2026年7月時点では、クラウドワークスで「UGC」を含む募集が月50〜80件程度掲載されています。
クラウドソーシング経由の単価はDM営業より2〜3割低い傾向(1本2,000〜5,000円程度)ですが、最初の実績作りには有効です。
方法3: UGCプラットフォームに登録
海外ではBillo、国内ではレモンスクエアやトリドリマーケティングなどのプラットフォームに登録する方法もあります。案件のマッチングを自動で行ってくれるため、営業が苦手な人に向いています。
UGC副業の確定申告と注意点
UGC動画制作で得た収入は「雑所得」または「事業所得」として確定申告が必要です(本業の給与所得以外の所得が年間20万円を超える場合)。ただし、20万円以下でも住民税の申告は必要なので注意してください。
経費として計上できるものの例:
- 三脚・リングライト・ピンマイクなどの撮影機材
- 編集ソフトの有料プラン(CapCut Pro: 月額1,350円〜、2026年7月時点)
- 撮影用の背景布・小道具
- 通信費の按分(動画アップロード等に使用する分)
詳しくは国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」を確認してください。
また、企業から提供された商品は「棚卸資産」ではなく撮影後に返却するケースと、そのままもらえるケースがあります。もらった場合は時価相当額が収入に含まれる可能性があるため、契約時に確認しておきましょう。
FAQ
UGC動画制作は顔出しなしでもできますか?
はい、手元だけを映す「ハンズオンリー」スタイルの需要は多いです。特にコスメの使用感レビューや食品の開封動画は、手元のみの撮影が主流です。顔出し不要の案件は全体の約6〜7割を占めます。
動画編集の経験がなくても始められますか?
CapCut(無料)を使えば、カット・テロップ・BGM挿入の基本操作は1〜2日で習得できます。UGC動画は「プロっぽさ」より「リアル感」が求められるため、高度な編集スキルは不要です。
月にどれくらい稼げますか?
副業として週5〜10時間を充てた場合、月2〜5万円が現実的なラインです。継続クライアントが3社つくと月5〜10万円も可能ですが、最初の3ヶ月は営業と実績作りに時間がかかります(個人差あり)。
著作権や肖像権で気をつけることは?
制作した動画の著作権は、契約書で「買い取り(著作権譲渡)」か「使用許諾」かを必ず確認してください。買い取りの場合、自分のポートフォリオへの掲載可否も事前に取り決めておくことをおすすめします。BGMは著作権フリーの素材を使いましょう。
海外ブランドの案件も受けられますか?
英語でのコミュニケーションが可能なら、BilloやTrend経由で海外案件も受注できます。単価は国内の2〜3倍(1本100〜250ドル)ですが、英語での台本理解と商品の国際配送が必要です。
参考文献
- User-generated content (UGC) marketing - Statistics & Facts — Statista, 2025
- Meta広告マネージャ — Meta for Business
- 給与所得者で確定申告が必要な人 — 国税庁
- クラウドワークス — 株式会社クラウドワークス
- ココナラ — 株式会社ココナラ
- CapCut公式サイト — ByteDance