電気代が値上がりし続ける2026年の夏、「節電」と「快適さ」を両立させる方法として注目されているのが、各電力会社のDR(デマンドレスポンス)節電プログラムだ。
筆者の家は三人の子どもがいるため、夏のエアコン代だけで月1万円を超えることもある。だからこそ「使いながら還元を受ける」仕組みを積極的に調べてきた。エアコンを完全に切る必要はなく、ピーク時間だけ設定温度を1〜2℃上げるだけでポイントが付く設計のプログラムがほとんどだ。
本記事では2026年8月時点の情報をもとに、東京電力エナジーパートナー・関西電力・中部電力ミライズ・東北電力・九州電力の各プログラムの参加条件・ポイント単価・換金先・年間還元額の目安を比較し、夏のピーク時間に合わせた登録手順を解説する。
DRプログラム(需要応答)とは何か
DR(デマンドレスポンス)とは、電力需要が集中するピーク時間帯に消費者が自発的に使用量を減らすことで電力網の安定化に貢献し、その報酬としてポイントや電気代割引を受け取る仕組みだ。
電力会社が「明日の14時〜16時が需要ピークになりそう」と判断すると、プログラム参加者にメールやアプリで前日・当日午前中に通知が届く。その時間帯に「過去の同時間帯の電力使用量(ベースライン)」より多く節電できた量(kWh)に応じてポイントが付与される仕組みだ。
節電量の計測はスマートメーター(通信機能付き電力メーター)のデータを利用する。2024年度末時点で全国のスマートメーター普及率は約97%(経済産業省 資源エネルギー庁)に達しており、参加に追加の機器投資は基本的に不要だ。自分の家のメーターがスマートメーターかどうかは、検針票または各電力会社のマイページで確認できる。
主要電力会社の節電プログラム比較(2026年夏)
以下は2026年8月時点の各社公式情報をもとに整理した比較表だ。ポイント単価・年間還元額は参加条件・世帯規模によって大きく変わるため、あくまで目安として参照してほしい。必ず各社の公式サイトで最新の条件を確認すること。
| 電力会社 | プログラム名 | ポイント種別 | 節電1kWhあたりの目安単価 | 夏のピーク時間帯(平日) | 3〜4人世帯の年間還元目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東京電力EP | でんき節電プログラム | Pontaポイント・dポイント等 | 2〜5円相当/kWh | 13:00〜16:00 | 500〜3,000円相当 |
| 関西電力 | はぴeポイント節電プログラム | はぴeポイント(Pontaに交換可) | 2〜4円相当/kWh | 13:00〜16:00 | 500〜2,500円相当 |
| 中部電力ミライズ | カテエネ節電プログラム | カテエネポイント(楽天ポイント等に交換可) | 2〜5円相当/kWh | 13:00〜16:00 | 500〜2,500円相当 |
| 東北電力 | よりそう節電プログラム | よりそうポイント(Amazonギフト券・電気代充当等) | 3〜5円相当/kWh | 13:00〜16:00 | 300〜2,000円相当 |
| 九州電力 | 節電チャレンジプログラム | 九電ポイント(Ponta・電気代割引に交換可) | 2〜4円相当/kWh | 13:00〜16:00 | 300〜2,000円相当 |
還元額の幅が大きいのは、節電量・参加回数・プランによる差が出るからだ。電力使用量が多い世帯ほど「節電できる余地」も大きく、結果として還元額も多くなる傾向がある。
各社プログラムの参加条件と換金先の詳細
東京電力エナジーパートナー(でんき節電プログラム)
東京電力EPのプログラムは「くらしTEPCO web」への会員登録が前提だ。スマートメーター設置済みの家庭が対象で、申込期限は例年6〜7月頃に設けられる。
節電依頼日(節電チャレンジ日)の対象時間帯に基準より多く節電できると、節電量に応じてポイントが付与される。「節電スタートボーナス」「参加回数ボーナス」なども設けられており、毎回参加することで追加還元が得られる設計になっている。貯まったポイントはPontaポイント・dポイント・楽天ポイントなど複数の選択肢から交換先を選べる。
関西電力(はぴeポイント節電プログラム)
関西電力は「はぴeみる電」への会員登録が必要だ。低圧(家庭用)の電気契約であることが参加条件で、スマートメーターが設置されていることを事前に確認しておく。
はぴeポイントはPontaポイントや電気料金充当に交換できる(1ポイント=1円相当)。節電量が多い月に「節電ランキング」上位に入ると追加ボーナスが得られる仕組みが用意されていることが多い。
中部電力ミライズ(カテエネ節電プログラム)
中部電力ミライズのプログラムは「カテエネ」への会員登録が必要だ。カテエネポイントは楽天ポイント・dポイント・PeXポイントなど複数の交換先がある。節電協力回数に応じた「協力ボーナス」が特徴で、コンスタントに参加すると年間還元が高くなる設計だ。
東北電力・九州電力・その他エリアの電力会社
東北電力の「よりそうポイント」はAmazonギフト券や電気料金充当への交換が可能だ。北海道電力・四国電力・北陸電力・沖縄電力でも各社独自の節電プログラムを実施しており、条件や単価は年度ごとに更新される。自分のエリアの電力会社の公式サイトで「節電プログラム」または「DRプログラム」と検索してほしい。
夏のピーク時間帯に合わせた節電の具体的なコツ
節電プログラムで効果を出すには、ピーク時間帯(平日13:00〜16:00前後)に電力使用量を下げることがポイントだ。ただし、熱中症リスクがある真夏に完全にエアコンを切る必要はない。以下の行動だけで十分な節電量が生まれる。
- エアコンの設定温度を1〜2℃上げる(26℃→28℃)。1℃上げると消費電力が約10%減るとされている(資源エネルギー庁データより)
- 洗濯機・食洗機・炊飯器の使用を夜間にずらす。これだけで世帯消費電力の10〜20%を動かせる
- 使っていない部屋の照明・家電の電源を切る
- テレビの画面輝度を下げる・PC・ゲーム機の使用を最小化する
- エアコンのフィルター掃除を事前に済ませておく。フィルターが詰まっていると消費電力が10〜15%ほど余計にかかる
三人の子どもがいる筆者の家では、ピーク時間の13〜16時に「昼寝タイム兼おやつタイム」を設定して、エアコンを一部屋に集約する作戦を取っている。強制的に節電するのではなく「自然と一か所に集まる」ルーティンを作るのがコツだ。
節電プログラムの登録手順(5ステップ)
参加の流れは各社ほぼ共通だ。以下の手順で申し込める。
-
スマートメーターの設置を確認する
検針票に「スマートメーター」と記載があるか、各社マイページの「スマートメーター設置状況」で確認する。未設置の場合は電力会社に交換申請が必要(無料・要立ち会いの場合あり)。 -
会員サービスに無料登録する
各電力会社の会員サービスに登録する。電気の契約番号(検針票に記載)が必要。
・東京電力EP:くらしTEPCO web
・関西電力:はぴeみる電
・中部電力ミライズ:カテエネ -
節電プログラムへ申し込む
各サービスのマイページ内の「節電プログラム」「DRプログラム」から申し込む。夏季プログラムの申込期限は例年6〜7月末が多い。毎年5〜6月頃に確認する習慣をつけておきたい。 -
節電依頼の通知設定をオンにする
メールまたはアプリのプッシュ通知をオンにしておく。前日または当日午前中に「今日の○時〜○時が節電依頼日」の通知が届く。 -
ピーク時間に節電を実施・結果を確認する
通知を受けたらピーク時間帯に節電行動を実施。翌日以降にマイページで節電量と獲得ポイントを確認できる。
申込からポイント付与まですべてアプリ完結で、追加コストは一切かからない。年間の電気代が10万円を超える家庭なら、まず参加して損はないプログラムだ。
FAQ
節電プログラムに参加すると電気代そのものが上がることはある?
参加自体は電気料金プランに影響しない。あくまでポイント還元の上乗せ制度なので、参加したことで月々の基本料金や単価が上がることはない。ただし一部の「節電割引プラン」に移行する場合は、プラン変更の条件を必ず確認すること。
マンション(集合住宅)でも参加できる?
個別にスマートメーターが設置されている場合は参加できる。一括受電方式のマンション(管理組合が電力を一括購入するタイプ)は、戸単位でのメーター計測が難しいため個人参加できないケースがある。まず電力会社のマイページでスマートメーター設置状況を確認しよう。
節電プログラムは夏だけ?冬シーズンもある?
多くの電力会社では夏(7〜9月)と冬(11〜3月)の年2シーズン実施している。夏に申し込んでそのまま冬も継続参加できるケースと、冬季に別途申込が必要なケースがある。年間で合計1,000〜5,000円相当のポイントが積み上がることもあるため、冬シーズンの実施有無も忘れずチェックしたい。
ポイントはいつ付与される?有効期限はある?
節電実施後、翌月〜翌々月にポイントが付与されるケースが多い。有効期限は各社・各ポイントの規定による(例:Pontaは最終獲得日から1年間など)。付与されたら早めに使いやすいポイントに交換しておくのが無難だ。
家族が日中在宅でも節電できる?
できる。エアコンを完全に切る必要はなく「設定温度を1〜2℃上げる」「使う部屋を集約する」「ピーク帯の家電使用をずらす」だけで節電量が生まれる。子どもが夏休みで在宅中でも、部屋をまとめる習慣で節電依頼に対応できる。
参考文献
- デマンドレスポンス(DR)について — 経済産業省 資源エネルギー庁
- でんき節電プログラム — 東京電力エナジーパートナー
- 節電プログラム(はぴeポイント) — 関西電力
- カテエネ節電プログラム — 中部電力ミライズ
- よりそう節電プログラム — 東北電力
- 節電チャレンジプログラム — 九州電力
- エネルギー白書2024(スマートメーター普及状況) — 経済産業省