AI動画生成ツールが商用利用できるレベルに達した今、「動画制作副業」の参入障壁が大きく下がっている。ただし、ツールを使えることと案件を取れることは別の話だ。2026年現在、RunwayとHeyGenという2大ツールがあるが、どちらを使ってどの案件ジャンルを狙うかによって、月収の上限も難易度も変わってくる。
本記事では、実際にAI動画案件を受注している筆者の経験をもとに、受注できる案件ジャンルを商品紹介動画・企業PR・教育コンテンツの3軸で整理し、それぞれの月収相場・参入難易度を比較する。今から参入するなら、どのジャンルから手をつけるべきかを具体的に示す。
RunwayとHeyGen:2026年時点の特性を把握する
2026年9月現在、副業案件で実用的に使われているAI動画ツールは大きく分けてRunwayとHeyGenの2強だ。両者は用途が根本的に異なるため、まず特性を理解しておく必要がある。
Runway Gen-3 Alpha(公式サイト)は、テキストまたは画像から映像を生成するツールだ。商品を映画的な映像で見せたい、抽象的なビジュアルを作りたいといった用途に強い。料金はStandardプランが月額15ドル(約2,250円・税別)から利用でき、クレジット消費方式で4秒動画1本あたり5〜10クレジットを消費する(2026年8月時点、Runway公式料金ページより)。
HeyGen(公式サイト)は、AIアバターが話す動画を生成するツールだ。テキストを入力するとアバターが喋る動画が完成する。解説動画・営業動画・採用動画などに向いており、Creatorプランは月額29ドル(約4,350円・税別)から使える(2026年8月時点、HeyGen公式料金ページより)。
筆者の実感として、「何でも作れる」と思って両方を同時に使いはじめるよりも、最初は1ツールに絞って得意ジャンルに特化する方が受注につながりやすい。案件ごとにツールを使い分けられるようになるのは、受注実績が3〜5本を超えてからで十分だ。
受注できる案件ジャンル① 商品紹介動画
現在最も案件数が多いジャンルが、ECサイトや物販事業者向けの商品紹介動画だ。Amazon・楽天・Shopifyの商品ページに埋め込む15〜60秒の動画が主な用途で、Runwayを使った映像生成が主力になる。
案件相場(2026年9月時点・クラウドワークス・Lancers掲載情報参照):
- シンプルな商品動画(15〜30秒):5,000〜12,000円/本
- BGM・テロップあり(30〜60秒):12,000〜25,000円/本
- 月10本以上の継続案件:単価交渉で3〜5万円/月の固定契約も可能
難易度は3ジャンル中最も低い。Runwayで商品画像から映像を生成し、CapCut等の無料編集ツールでテロップを加えれば完成する。制作1本あたり2〜4時間が目安で、時給換算で1,500〜3,000円程度になる。
参入障壁の観点では、競合が増えているためポートフォリオの質が勝負になる。受注前にRunwayで手元にある商品3〜5点の動画を作っておき、クラウドワークスのプロフィールに掲載することが最速の受注への道だ。
受注できる案件ジャンル② 企業PR・採用動画
中小企業のホームページ掲載用PR動画、採用サイト向け動画制作がHeyGenの活用先として増えている。AIアバターが採用メッセージを読み上げる形式で、撮影コストを大幅に削減できるため、予算の小さい事業者からの需要が高い。
案件相場(同調査):
- 企業PR動画(1〜3分):30,000〜80,000円/本
- 採用動画(アバター1名・2〜3分):20,000〜50,000円/本
- 複数言語展開(日英など):+15,000〜30,000円/言語
難易度は中程度。HeyGenのアバター設定自体は難しくないが、クライアントとのヒアリング・台本作成がカギになる。台本の品質が低いと映像がどれだけ良くても採用されない。ChatGPTを使った台本生成と組み合わせると、制作時間を大幅に短縮できる。
参入障壁は商品紹介動画より高いが、その分単価も高く、継続受注につながりやすい。HeyGenで作ったサンプル動画(日本語アバター使用)を1〜2本用意してから営業すると反応が変わってくる。
受注できる案件ジャンル③ 教育コンテンツ・解説動画
資格スクールや企業研修、YouTube教育チャンネル向けの解説動画制作は、単価と継続性のバランスが最も良いジャンルだ。HeyGenのアバターが解説を話す形式と、Runwayで図解アニメーションを生成する手法を組み合わせて使う。
案件相場(同調査):
- 解説動画(5〜10分・アバターあり):15,000〜35,000円/本
- 月4〜8本の継続制作:6万〜25万円/月(スクール・企業との固定契約)
- 多言語展開(英語・中国語など):+10,000〜20,000円/言語追加
難易度は3ジャンル中最も高い。教育コンテンツは内容の正確さが求められるため、台本監修や構成力が問われる。一方で、品質を認めてもらえれば長期の継続契約に発展しやすく、月収の安定化につながる。
筆者がAI動画案件を始めた当初、教育系YouTuberから「試しに1本作ってほしい」という依頼が来た。単価は15,000円と低めだったが、内容に満足してもらえて月4本の継続契約になった。単発の商品動画を量産するよりも、1クライアントとの関係を深める方向が月収安定につながると実感した経験だ。
3ジャンル横断比較:難易度・月収・参入障壁
3ジャンルを難易度・月収相場・参入障壁の3軸でまとめる。
| 案件ジャンル | 難易度 | 月収相場(目安) | 参入障壁 | 主要ツール |
|---|---|---|---|---|
| 商品紹介動画 | 低 | 2万〜15万円 | 低(競合多) | Runway |
| 企業PR・採用動画 | 中 | 4万〜25万円 | 中(営業力必要) | HeyGen |
| 教育コンテンツ | 高 | 6万〜30万円 | 中〜高(専門性必要) | HeyGen+Runway |
※上記の月収はフルタイム副業(週15〜20時間程度)での目安。個人差・案件単価・受注本数によって大きく変動する(2026年9月時点の相場をもとに筆者が算出)。
結論から言うと、今から参入するなら商品紹介動画でポートフォリオを作り、並行して企業PR案件の営業を始めるのが現実的なロードマップだ。教育コンテンツは特定分野の専門知識がある人(元教師・資格保有者・業界経験者)なら最初から狙いやすい。
最初の1案件を取るまでの具体的な手順
AI動画副業を始めてから最初の受注までの手順を整理する。
Step 1:ツール選定とプラン契約(1日)
商品紹介動画から始める場合はRunway Standardプラン(月額15ドル・約2,250円・税別)、企業PR・教育動画から始める場合はHeyGen Creatorプラン(月額29ドル・約4,350円・税別)に加入する。どちらも無料トライアルがある(2026年8月時点)ので、まずは無料で試してから有料移行を判断する。
Step 2:ポートフォリオ動画を3本制作(3〜5日)
クライアントは「どんな動画が作れるか」を実績で判断する。自分が所有する商品や公開素材を使い、実際の案件想定で3本制作する。CapCutやDaVinci Resolve(無料)でテロップ・BGMを加えて完成度を上げる。
Step 3:クラウドソーシング登録とプロフィール整備(1日)
クラウドワークス・Lancersのプロフィールに「AI動画制作(Runway/HeyGen使用)」と明記し、制作したサンプル動画のURLを掲載する。ポートフォリオが1本あるのとゼロのとでは受注率が大きく変わる。
Step 4:案件への提案(継続)
まずは予算5,000〜15,000円の商品動画案件に10〜20件提案する。提案文には「AIツールを活用することで通常より短い納期で納品できます」という具体的なメリットを記載する。最初の受注は単価より実績を積むことを優先する。
ツールコスト(Runway Standardプラン)は月約2,250円。商品紹介動画を月3本受注するだけでツール代を回収できる計算だ。
FAQ
RunwayとHeyGenはどちらから始めるべきですか?
商品を持っているEC事業者や物販副業をすでにやっている人はRunwayから、採用・解説・営業動画に関心がある人はHeyGenから始めるのが自然だ。どちらも無料プランで感触をつかんでから有料プランに移るのを推奨する。
AI動画制作副業の収入は確定申告が必要ですか?
給与所得者(会社員)の場合、副業収入が年間20万円を超えると確定申告が必要になる(所得税法上)。月2万円以上を継続的に稼ぐ場合は確定申告を前提に帳簿をつけておくと安心だ。RunwayやHeyGenの利用料は業務用途であれば経費計上できる可能性がある。詳細は国税庁の公式情報を参照のこと。
AIが生成した動画の著作権はどうなりますか?
RunwayとHeyGenともに、有料プランで生成した動画の商業利用は利用規約上許可されている(2026年8月時点)。ただし、納品物の著作権譲渡については各ツールのRunway利用規約・HeyGen利用規約を事前に確認し、クライアントに説明しておくことが重要だ。
月収10万円を目指すには何本の案件が必要ですか?
商品紹介動画(単価1万円)なら10本、企業PR動画(単価3万円)なら4本が目安だ。副業開始から月10万円が安定するまでには4〜6ヶ月程度かかるケースが多い(個人差あり)。最初の1〜3ヶ月は受注開拓と実績作りの期間として計画しておくのが現実的だ。
AI動画生成ツールが普及したら稼げなくなりますか?
ツールの普及で「使えるだけ」の差別化は薄れていく。長期的に稼ぐにはヒアリング力・構成力・クライアントの課題解決力という非AIスキルを同時に磨くことが重要だ。ツールはあくまで制作効率を上げる手段と割り切って使う視点が大切だ。
参考文献
- Runway 公式料金ページ — Runway ML, 2026年8月参照
- HeyGen 公式料金ページ — HeyGen, 2026年8月参照
- No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人 — 国税庁, 2026年参照
- Runway 利用規約(商業利用条件) — Runway ML, 2026年8月参照
- HeyGen 利用規約 — HeyGen, 2026年8月参照
- クラウドワークス — クラウドワークス株式会社
- Lancers(ランサーズ) — ランサーズ株式会社