アフィリエイトで収入が出てきたが、確定申告が必要かどうか分からない——そんな会社員からの質問が増える時期が、毎年9月から10月だ。年末調整まで残り数ヶ月というタイミングで「あ、今年どうするんだっけ」と気づくパターンが多い。

結論から言うと、給与所得以外の所得(副業収入から経費を引いた額)が年間20万円を超えたら、翌年3月に確定申告が必要になる(所得税法第121条)。2026年3月申告の場合、対象は2025年1月〜12月の収入だ。

本記事では、アフィリエイト収入を持つ会社員が2026年申告に向けて押さえるべき「経費の範囲」「雑所得の計算手順」「住民税を会社にバレにくくするための普通徴収切り替え」を、2026年4月現在の税制に基づいて解説する。

20万円ルールと雑所得の仕組み

会社員がアフィリエイトで得た収入は、原則として「雑所得」に区分される(国税庁 No.1500)。雑所得の計算式はシンプルだ。

雑所得 = アフィリエイト収入(ASPからの振込合計) − 必要経費

「20万円」はこの雑所得の金額が基準になる。つまり、ASPからの振込合計が25万円でも、サーバー代・ドメイン代・ツール費などの経費合計が6万円あれば、雑所得は19万円となり申告不要になりうる。

ただし1点注意がある。「確定申告が不要」は所得税の話で、住民税は別ルールが適用される。住民税は雑所得が1円でも発生すれば申告が必要だ(自治体によって異なるが、基本は申告義務あり)。後半の住民税セクションで詳しく説明する。

アフィリエイトで認められる経費の範囲(2026年版)

国税庁「やさしい必要経費の知識」に基づき、「収入を得るために直接必要だった支出」が経費として認められる。アフィリエイト収入に対応する主な経費は次のとおりだ。

サーバー代・ドメイン代

ブログ・サイトを運営するためのレンタルサーバー費(月額1,000〜2,000円程度・税込)やドメイン取得・更新費(年間1,000〜3,000円程度・税込)は、全額経費に算入できる。複数サイトを運営している場合も、アフィリエイトに使用しているサーバーの費用分は経費になる。

有料ツール・ASPツール費

キーワード分析ツール(例:ラッコキーワード、Ahrefs等)、有料テーマ(AFFINGERなど)、画像編集ソフトのサブスク費用も対象だ。ただし、プライベートと共用しているサービスは「按分」が必要。たとえばAdobe CCを仕事5割・趣味5割で使っているなら、月額費の50%のみを経費に計上する。

書籍代・セミナー費

SEOやライティング、アフィリエイト手法に関する書籍・電子書籍代、関連する有料セミナーへの参加費も経費に算入できる。購入した書籍がブログ運営に役立てているなら問題ない。レシートまたは電子領収書を必ず保管しておくこと。

スマートフォン・通信費(按分)

スマホで記事の確認・SNS更新・ASP確認を行っているなら、通信費の一部(業務使用割合に応じた按分)を経費にできる。私用と仕事の比率を合理的に説明できる割合(例:業務30%)で按分する。

経費にならないもの

プライベートの外食費、趣味のサブスク、資格とは無関係の学習費用などは経費にならない。「なんとなくブログに関係ありそう」では認められないため、経費と収入の紐づきを明確にしておくこと。

雑所得の計算と確定申告の手順

フリーランスになりたての頃、ASPの管理画面だけ見て「20万円いってない」と安心していたことがある。実はドメイン更新費の領収書を何枚も見落としていて、ちゃんと経費を出してみたら申告が不要だったケースもあった。経費の把握は年の途中から始めるのが正解だ。

申告の大まかな流れは以下のとおりだ。

  1. 年間収入を集計:各ASP(A8.net、もしもアフィリエイト等)の「振込実績」または「収益レポート」をダウンロードし、2025年1月〜12月の支払確定額を合計する(振込日ではなく発生日ベースが原則)
  2. 経費を集計:サーバー・ドメイン・ツール・書籍の領収書・利用明細をまとめ、年間合計を算出する
  3. 雑所得を計算:収入合計 − 経費合計 = 雑所得
  4. 確定申告書を作成:e-Tax(国税電子申告・納税システム)またはfreee・弥生の確定申告などクラウド申告ソフトを利用する
  5. 申告・納税:2026年2月16日〜3月16日が申告期限(2025年分)。振替納税を使えば4月下旬まで延納可能

会社員の場合、給与所得は年末調整で処理される。確定申告では「給与所得+雑所得」の合計所得で所得税を再計算し、不足分を追加納税する形になる。

住民税の「普通徴収」切り替えで会社への通知を防ぐ

会社員が確定申告をすると、税務署から市区町村に所得情報が共有され、翌年の住民税額が確定する。問題は、副業分の住民税も含めて「特別徴収(給与天引き)」になると会社に金額が通知される点だ。住民税の天引き額が突然増えれば、経理担当に気づかれる可能性がある。

これを防ぐのが「普通徴収への切り替え」だ。確定申告書の「住民税・事業税に関する事項」欄で「自分で納付」にチェックすることで、副業分の住民税は自分の口座から直接納付(普通徴収)になる。

手順は以下のとおりだ。

  1. 確定申告書(第二表)の「住民税・事業税に関する事項」欄を開く
  2. 「給与・公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」の項目で「自分で納付」を選択する
  3. 申告書を提出する(e-Taxでも紙申告でも同じ)

注意点が2つある。

  • 給与から引かれる住民税(本業分)は変わらない。変わるのは副業分の住民税だけ
  • 切り替えを忘れると、自治体が「特別徴収」の通知を会社に送る可能性がある。申告時に必ず確認すること

2026年4月現在、e-Taxでの確定申告ではこの欄を入力する画面がステップ形式で表示されるため、見落としにくくなっている。ただしスマホの「確定申告書等作成コーナー(簡易版)」では表示されない場合があるため、PC版のe-Taxを使うことを推奨する。

2025年分申告で注意したい税制ポイント

2025年(令和7年)分の申告(2026年3月提出)に関連する確認事項を整理する。

インボイス制度(2023年10月〜)の影響

アフィリエイターがインボイス登録をしているかどうかによって、ASPからの報酬の消費税処理が異なる。年収1,000万円以下のアフィリエイターはほぼ全員が免税事業者のままで問題ない。インボイス登録は義務ではなく任意であり、登録すると課税事業者になり消費税申告が必要になる点に注意する。

青色申告・白色申告の選択

会社員の副業アフィリエイトが「雑所得」に区分される限り、青色申告(最大65万円控除)は適用できない。青色申告は「事業所得」に区分された場合に適用可能になる。事業所得とみなされるには「継続的・独立的な事業活動」と判断されることが必要で、副業の規模・実態・帳簿管理の状況が問われる(国税庁・令和4年10月通達参照)。

税制改正の最新情報

基礎控除・給与所得控除の見直しは毎年変更される可能性がある。申告前に必ず国税庁ウェブサイトで最新情報を確認すること(2026年4月現在の情報を基準に執筆)。

FAQ

アフィリエイト収入が20万円以下なら何もしなくていいですか?

所得税の確定申告は不要になります(年収2,000万円以下の会社員の場合)。ただし住民税は雑所得が1円でも発生した場合、お住まいの市区町村への申告が必要です。確定申告をしないなら、住民税申告(市区町村の税務課への申告)を別途行ってください。

ASPの「確定ポイント」と「振込金額」どちらを収入として計算しますか?

原則として「発生主義」で計算するため、収益が確定した日(確定ポイント)を基準に計上します。実務的には振込ベースで計算しているケースも多く、税務調査で問題になることは少ないとされています。迷う場合は税理士に確認することを推奨します。

サーバー代の領収書をなくした場合はどうすればいい?

クレジットカードの利用明細や、レンタルサーバー会社の管理画面から「支払い履歴」を取得できる場合が多いです。エックスサーバー・ConoHa WINGなどの主要サービスはPDFで領収書を再発行できます。これらを保管しておけば経費として計上可能です。

確定申告をすると、必ず会社にバレますか?

確定申告自体が会社に通知されることはありません。ただし、住民税の変更通知が経理に届く可能性があります。確定申告書の「住民税・事業税に関する事項」で「自分で納付」を選択することで、副業分の住民税は給与天引きではなく個人納付になり、バレるリスクを下げられます。

配偶者の扶養に入っているが、アフィリエイト収入が増えてきた場合は?

配偶者控除(扶養)は「合計所得が48万円以下」が条件です。アフィリエイト収入(雑所得)がこれに加わる点に注意してください。副業収入が増えると扶養から外れる可能性があるため、年内に収入見込みを把握し、早めに配偶者と相談することを推奨します。

参考文献